最後のクレープ

ぬれねずみ

Prologue―幸せな人―

うちは幸せ。自分でもそう思う。

恋人も友達もみんな優しくて、うちの事を大切にしてくれる。

でも、あの電話が頭から離れない。

まるで心に染みついた汚れのように。

どれだけ時間が経ったとしても消えることのない汚れ。

でも、うちの手にある幸せを手放すわけにはいかない。

この汚れは、もう過去の幻影なのだから。

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