楽園から続く道
詠み人知らず
第1話 楽園
一浪して臨んだ第一志望の国立T大の合格を果たせなかった夜、父の「怒り」はついに「失望」に変わった。父に不合格の結果を報告したとき、輝幸は、いつものような叱責がくるのを床を見ながら待ったが、それは、やってこなかった。父は大きくため息をついた後、ひとこと「そうか」とつぶやいた。驚いて輝幸は顔を上げ、父の顔を見た。そして、その表情から、自分が父にとって怒る価値のない存在になったことを知った。
自分の部屋に戻ると輝幸はベッドにもぐりこみ、擦り切れたお気に入りの冒険小説を開いた。絶望は物語の行間に溶けていき、輝幸は知らぬ間に眠っていた。
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