20話 狼退治
道沿いに馬を進め、草原の手前まで私たちは来ている。私の視線のずっと先に狼の群れがいて、食事をしているとエヴァンが言っていた。何を食べているのかは分からない。エヴァンが銃のスコープで覗いていたから、私も見たいと言ったのだけれど、見ない方がいいの一点張りだった。
「始めるか」
エヴァンが使っている銃は……なんだったかな。ボルトアクションだったのは覚えてるんだけど、名前までは覚えてない。製造している所は確かイギリスだったような。何度も話の中に出しているのに覚えてないなんて作者失格だ。
「どうした」
「な、なんでもない!」
「そうか」
狼の弱点はお腹らしい。さっきからお腹を打たれた狼が1匹ずつ倒れていく。
エヴァンが狼を倒して行く中で、私は何もすることが無い。ここの下が草原ではなく、アスファルトだったらエヴァンがコッキングする度に空の
だからといって何かができる訳では無い。
私が出来るのはキャラクターと必要な物の召喚だけ。
ずっと撃ち続けているけど、弾は無限じゃない。
それに、首を左右に動かして混乱しながら探している狼達も、どこから撃たれているのかそろそろ分かってくるのかもしれない。なにせこちらはずっと同じ方向からしか撃っていないから。
「離れていったか」
結局私たちがいるところは見つからず、狼たちは逃げていった。良かった。見つからなかった。倒した狼は合計で11匹。近くで発射音を聞いていたから耳がおかしくなった。聞こえていないのに、数えていたのはエヴァンがコッキングする様子を見ていたから。
「ここで待ってろ」
「手伝わなくていい?」
「大丈夫だ。それに慣れている奴が解体した方がいいだろ」
「それはそうだけど……」
解体しているエヴァンの様子を見ながら近づいてきたネイビーを撫でていると、エヴァンよりも少し離れたところの高い草が動いた気がした。私が気付いたのと同じくらいにエヴァンも草むらを見ている。しばらく見た後、何かを回収して走って戻ってきた。
「逃げるぞ」
近づいてきて、私を放り投げるようにネイビーの背に乗せ、続いて私の後ろにエヴァンが軽々に乗ると、両足で馬の腹あたりを叩いて進ませた。
「あかり、こいつの弾を補充したい。.303 Britishかもしくは7.7mm x 56Rの弾倉を2つ出せるか?」
「え、えっと!」
ちらりと後ろを確認すると、足でしっかりと自分の体を支え、体をひねって後ろを見ながらエヴァンが後ろに銃を構えている。さっき狼たちに撃ったので使い切っちゃったんだ。
「ご、ごめん。ぶりてぃっしゅしか聞こえなかった!」
「ピリオド、303、Britishだ」
落とさないように鞄からスマホを取り出し、慌てて別のアプリを押さないように少しだけ自分を落ち着かせてからメモ帳を開く。
「さっき言った弾の
「ああ。銃の名は303口径リー=エンフィールド」
「【エヴァンの手に、彼が使用する303口径リーエンフィールドの.303 Britishの
文字間違いはないよね? ここで間違えてたら時間ロスになっちゃう。確認しようとしたけど、これ以上動くとスマホごとネイビーから落ちちゃいそう。心配しながらもひたすら前を見ていると、後ろでコッキングする音が聞こえた。ということは成功したんだ。スマホを確認すると、90パーセントになってる。
「
微かに音が近づいてくるのが分かる。それと同時に地面に倒れる音も聞こえた。1体ずつエヴァンが減らしているんだ。私は、必死にしがみついているのがやっとなのに、エヴァンは体を上下に動かして衝撃を抑えながら撃ってる。どんな体幹してるの。小説と実際に見るのって全然違うわ。
「回収は出来んな」
ぼそりと呟いたけど、私が分かることは狼の何かのことをだってことだけ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます