第2話〜150円の誤解〜
俺はカズヤ39歳。
はあ、今日も疲れた。
アイツはまた嫌味言うし参ったよ。
なーんてモヤモヤしていたら、今日もやっぱり来てしまったこの店、
『居酒屋なみのり』
センスのないドアを開けると——
そこは、楽園!パラダイス。
俺にとってのオアシスさあっ!
「あれ、どうしたのマスター?」
拍子抜けしたと言うか、心配になるその顔。
「ああ、カズヤか」
えええ、カズヤかじゃないよ。落ち込んでいるのは俺だよぉ。
しかし、なんだろう珍しい。
「あれ、女将さんは?」
「あ”」
カウンターからムクッと起き上がるマスター。
うわぁ地雷だったのか?
「何飲むのビール?それともお会計?」
イヤイヤイヤまだ席にも着いとらんがな!
て突っ込んどる場合か!?
何とかカウンターをゲットして、ビールの細かい奴らに喉をマッサージしてもらった俺。
そこに足らないものは、
「お通し、お通しさっ」
割ってもいない割り箸をトントンとやる俺。
「ああ、カットするかぁ〜」
おおい、どこまで元気ないんだよ。なんだよおい。
しかし、他のお客は平気なのか?
と後ろを見回すも、アレ?ご新規さん2名かな?
アレレ、ちゃんとお通しだしてるし、俺にもくれよ。日替わりみたいなのが好きなのさ。おいって!
仕方ない、
「これもらうよぉ〜」
と、俺が手にしたのはカゴに入った小袋分けのお菓子。
1つ90円くらいでもいいだろ?
と思いながらも150円のを3つも取ってしまった。
あー女将さん来ないかなぁ。
「ん、意外にうまい」
150円、結構お得感あったりして……
カリカリ音を立てる俺に、
「そうでしょ、たまにはそう言うのもいいでしょ」
と、笑顔のマスター。
おい、復活したのかよ?何があったんだ。
「ふふ」
とスマホをエプロンに仕舞うマスター。
ははぁん、さては仲直りしたな。じゃあ来るのか?来てくれるのか俺の料理人。
——いや俺のマイスター🎵
何も言わず2人組の横の席に座るマスター。
手にはマイグラスかよっ。
そして、2人組と何やら話し出すのだった。
ご歓談中スミマセ〜ン。私も客なんですけどぉ!
相手して、つーか何かメシ出せや。
そうこうしているうちに、やっと女将さん登場。
そして、立ち上がり喜ぶマスター。
と、俺。
「どうだった?」
と聞くマスターの声を、
「角煮としめ鯖」
と上書きする俺の声の大きいこと大きいこと。
感じる視線に頭が下がる思いであった。
あれれ?
と、いつの間にか増えて来た常連の顔。
その中の雑貨屋の番頭が、
「で、ワンちゃんの病気は何だったの?」
と、コップ酒を手に赤ら顔。
ななな、飼い犬の心配だったの?
マスター。
そりゃ心配だろうけどさ。
でも、空気空気。
そうさ!
飲んでても空気を読める俺は、営業成績No. 1!
それでも明日もまた嫌味を言うんだろな……アイツ。
完
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