第3話
そして2人で駅まで歩いていくと、同じクラスの女子である松山に話しかけられる。
「ねぇ、2人付き合ってるって本当?」
「本当ですよ、松山さん」
本性を知ってしまうと優等生モードのコイツがキモすぎて仕方ない。急に言葉を丁寧にするのはやめてもらいたい。
「私ちょっと驚いてて。そもそも市川さんが付き合うんだっていうのと、相手が長野くんっていうのがどうも腑に落ちなくって」
松本にも同じことを言われたな。まあその疑問を持つのは当然だろう。
「以前から好きだったので告白したらOKされたので付き合うことになったんです」
「まあ、そういうことだ」
「え〜ほんと〜?」
松山はまだ納得していない様子だったが、路線が違ったので別れた。
「ふー疲れた。骨が折れるなこの職務。そういえばいつ5千円もらえるんだ?」
「月末で」
「おっけ。じゃあさいなら」
「はい、さよなら」
しかし彼女は一向に離れようとしない。そのまま駅のホームに着いてしまった。
「おい、なんでついてくるんだよ。まさか俺のことをストーカーする気か?」
「あんたこそ私の家までついてくるつもり?」
「もしかして同じ電車だったのか?」
その後確認すると、同じ路線で来ていることがわかってしまった。
「そういうことだったのか。まあ、お前と話してると疲れるからどっかに行ってくれ」
「言われなくてもそうする」
市川はホームの前の方へ歩いていく。そして俺はやっとこの労働から解放された。はずだったが、ホームの階段の下から聞き馴染みのある声が聞こえた。
「おーい、長野と市川〜一緒に帰ろー」
それは松本だった。俺と松本は中学からの付き合いなので、同じ駅で降りる。そして市川はさっき聞いたが、俺たちの二つ先の駅で降りるらしい。つまり、俺たちはそこまで仲睦まじい彼氏彼女を演じ続けなくてはならないのだ。
そしてホームに電車がきて、市川、俺、松本の順で座った。
市川の趣味とかも良くわかっていないので何を話せばいいのかわからない。
気まずかったのでとりあえずスマホの検索画面を開く。すると、俺の視界からスマホが消える。
「ふーん、随分と興味深いことを調べられているのですね」
コイツ余計なことを。あー俺の闇に包まれた検索履歴が見られてしまった。
「長野、お疲れ。お前の終わってる履歴見られたな」
「随分と可愛い女子達が出てきましたが」
「な、なんのことだか」
「まあそういうお年頃ですし、仕方ないですね」
緩めの追求で許してくれた。そう思ってスマホを奪い返そうとすると、市川が呟く。
「お、なんですかこのゲーム、とっても面白そうですね」
やっぱりそんな簡単に許してくれる女ではなかった。それは某美少女ゲームの放置○女だった。急いでスマホを取り上げる。
「なっなんのことだ?」
「あれ?まだ聞いてないのに」
「まあそんなことはいいだろ」
まったく散々な目にあった。俺も仕返しをしてみようと、アイツがスマホを開いたタイミングでアイツのスマホを奪い取る。
するとなにか怪しげな漫画が見えたところであいつに取られてしまう。
「随分と焦ってるな」
「いえ、そんなことは」
とは言っても一本やられたという悔しそうな顔をしているのが面白い。
意外と早く電車での時間も過ぎてゆき、松本と一緒に電車を降りる。
「お前の生態がバレて残念だったなー」
「災難だった」
「でも意外と違和感ないな。お前と市川が話しているのも」
どうやらちょっと納得してもらえたようでよかった。
そんなこんなで大変だった日は終わったが、これは俺の苦労の始まりに過ぎなかった。
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