第12話 不如帰
ドギャギャギャギャギャギャギャギャ!!
ライゼンと月影のどつき合いに付け入る隙が無かった
「はわわわわ …… 」
イクリプスはただ、オロオロと見守るしか出来ない
バチチ!!
黒い稲妻が疾走り月影の着物を焦がし肌を焼く
「いやああぁっっ!!」
ギャリイィーーーンッッ!
構わず剣を振るう月影の一撃が、ライゼンの黒鱗を1枚斬り飛ばす
バッ、と距離を取る2人
( えっ、月影ちゃん凄い!? )
大気圏再突入処か、至近距離での核爆発にさえ耐えうるライゼンの黒鱗が足下に落ちていた
イクリプスがそれを拾うと、ライゼンの顔がみるみる真っ赤に染まる
「ちっ、違うから!今のはちょっと油断しただけで、こんなチンチクリン直ぐに倒して見せるからっ!?」
剥がれた黒鱗は直ぐ様再生しているが、ライゼンはテンパッているのかちょっと涙目だ
対する月影は、あちこち着物が破れ肩で息をしているが、出血はしていない様だ
ライゼンの猛攻を全て刀1本で往なして居る事になり、此方もとんでもない才能だが、流石に体力の限界が近そうだ
良く見れば膝が笑っていたが、剣先だけは微動だにせずライゼンに向けられているのは大したものだ
「さっきは少し驚いたけど、そろそろ動けなくなりそうね …… 苦しまずに仕留めてあげるから感謝なさい」
月影に比べ、ライゼンはまだまだ余裕だ
「もう止めて!!」
ガバッとイクリプスが小さな月影を庇う様に覆い被さる
「 …… は?」
「あちゃ~、あの馬鹿 … 」
離れて見ているミカエラも頭を抱える
「イクス、何の積り …… ?」
「2人が闘うなんておかしいよ?一体何をやってるの!?」
「御兄様 … そこをどいて下さい」
「駄目だ、月影ちゃん、これ以上殺り合ったら本当に死んじゃうよ!?」
「闘いで死ぬならば本望です!邪魔為さらないで下さいませ!」
「簡単に死ぬとか言っちゃ駄目だよ!」
「イクス …… どいて」
「ライゼン、落ち着いて?」
「何故貴方は月影を庇うの?何故私を見て下さらないの?何故そこに立ちはだかるのっ!!?」
ライゼンの黒鱗鎧装が解け、滂沱する彼女の顔が顕になる
「兎に角、こんなの間違ってる!」
「イクスの馬鹿あっ!!」
ライゼンは泣きながら何処かへ転移して消える
「 …… はあ、御兄様、良い加減離して下さい」
「え?ああ、ごめんなさい」
「男の癖にヘラヘラしないで下さいませ」
月影は顔を赤くしつつ十文字一徹を納刀しながら、怒っている様だが、その理由がサッパリ理解出来ないイクリプスである
「え~と、咲耶?何だっけアンタの故郷の諺 …… 鳴かぬなら鳴かしてみせよう
「この場合どちらかと言うと、鳴かぬなら殺してしまえ不如帰ですわね」
拗らせるだけ拗らせても、全く自覚の無いイクリプスである
「イクス!!」
ミカエラに呼ばれて行くと頭を小突かれた
ポカッ!
「あ痛っ?」
「間の抜けた事言って無えで、さっさとライゼン追いかけろ!」
「え、どうして?大体、探すったって何処に行ったか分かりませんよ?」
「バカ、あの子はテメェが何処に居ようと分かるって言ってたぞ?」
「そりゃセレロン叔母さんの血を引いてるから …… 」
「そう言う事じゃ無え」
「う〜ん???」
「良いからさっさと行け!見付けるまで帰って来るのは許さねえ!」
「ええーーーー!?」
ライゼンならば遥か銀河を飛び出して宇宙の果ても超えられる
途方も無い話しに為って来た、と嘆くイクリプスは、それでもミカエラに急かされて渋々空へと飛び立つ
「本当に鈍いですね、御兄様は … 」
「あら、気になる?月影」
「まさか!私は剣一筋です、男なんて全くこれっぽっちも興味在りません!」
と言いながら月影の顔は赤い
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