第12話 妖狐様との出会い(4)
「ああ、当たり前じゃ、わらわは神さまだぞ! 人の心を読むことなど安易なことじゃ、あっ、はははははは」
僕が妖狐様に尋ねると、彼女は物の怪ではなくお稲荷さま……。豊穣神さまだから人の想いを探ることなど安易なことだと僕に教えてくれたから。
僕は妖狐さまに対して余り余計なこと……。特に彼女に対して邪悪なこと……。悪態をつかないようにしようと思うのだった。
◇◇◇
「あの、お稲荷さま……。今日は僕に何用でございましょうか?」
僕は販売所で売られている殻つき牡蠣の身が段々と大きくなり、美味しくなり始める秋の終わり、冬の始まりの青空の下で、僕のキッチンカーの前から離れず。
『うわぁ~、美味しそうじゃ~』、
『これはたまらん』。
『わらわの口から涎がタラタラ垂れそうじゃ~』と。
このひと……。お稲荷さまって女性だよね……? なのに、何故? こんにも下品になれるのかな……? 大変に麗しい容姿をしているのにさ……。大変に変わったひとだ……。
と、また僕が脳内で思うから。
『店主、貴様! また神仏である、わらわに悪態をついたな?』と叱られ。
『ごめんなさい』と僕が謝罪をした妖狐さまに、僕は冒頭シーンの通りで、首を傾げ尋ねてみた。
「……ん? そんなこと、わらわに尋ねなくても、店主がわらわのこの様子を見れば察しがつくだろうに」と。
僕が妖狐さまに尋ねると彼女は憤怒しながらプンプンと不満を告げ、自分の様子を見て察しろと告げてくるから。
「う~ん」と僕は取り敢えず腕を組み、考える人へと変化……。
「う~ん、う~ん」と大袈裟なぐらい妖狐さまへと頷いて見せて、
「……もしかして家のお店で販売をしているソフトワッフルが欲しいのかな?」と尋ねてみた。
「ああ、そうじゃ、儂は店主が焼いた、そのソフトワッフルと言う物を食してみたい。ただそれだけで、広島のわらわの
妖狐さまは、今にも口から涎が垂れそうな変顔で、僕のソフトワッフルを自分に供物しろと下知をだしてきたのだが。
このひと本当に異国情緒溢れて綺麗な容姿なのにさ、本当に勿体ないな、このひとは……と、僕はまた脳内で妖狐さまへと悪態をつくから。
「うるさい!」、「だまれ!」、「店の店主!」と。
僕はまた妖狐さまに叱られたけれど、気にもしないで、
「お稲荷さまはお金をお持ちなのですか……? 僕は無宗教だからお稲荷さまへの信仰心もないのですが」と。
僕は妖狐さまへと遠回しに無料で差し上げる訳にはいかないから、今日も売り上げが乏しいので購入をしてくださいとわざと、意図的に思ってやった。
「……ん? 店の店主、わらわは金などないぞ! だから無料で神仏であるわらわにソフトワッフルを備えろ……。そうすれば店の店主によい見返りが起きるかもしれぬぞ……。いっ、ひひひひひひ」
今度は妖狐さま、物の怪のように不気味、いやらしく笑いながら、自分に供物すればよい見返りがあるからソフトワッフルを供えるのだと下知をだしてきたから。
「僕がお稲荷さまへとお供えをすれば、どんな見返りがあるのですか?」
僕は何故か、若い女性相手にアレルギーがでるわけでもなく、久し振りに冗談が言える会話ができるから不思議……。
これもお稲荷さま……。神さまの力なのかな? と思いつつ、銀髪の麗しい少女へと尋ねてみるのだった。
◇◇◇
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