追放英雄の転生復讐譚~不当に追放された英雄は、復讐を遂げるのか~

接ぎ木ゆる

第1話~不当な追放~

「どうして、こうなった?」


 僕は暗く狭い洞窟の中で、そう独りごとを呟き、思いを馳せる。

 確か数時間も経っていないぐらいか?


~1時間ほど前~


 僕はカイ・セレノス。

 今代の七英雄なんだ。

 七英雄って言うのは、世界中のモンスターが蔓延る危険な土地や建物を巡ってモンスターを倒してまわる役目を負った者のことだよ。

 七英雄っていう呼び名がついたのは初代、かな?が、七人で魔王の一人を討ったことを称える意味合いで付けられたらしい。

 今日は、他の七英雄のみんなと〝神狼の森〟にやってきてたんだけど......


「えっと、もう一度言ってもらえる?」

「もう一度だけ言ってやろう。お前を、ここで、追放する」


 僕の頼みにそう答えたのは、僕らのパーティーのリーダー、セリオスだ。


「え〜と理由を聞いてもいいかな?」

「そんなの簡単だろ、てめえが戦いの役にたってねえからだろ!」


 あっけらかんと言ったのは、セリオスともう一人とともに前衛をしているヴォルト。


「いやいやいや、僕だって、消費系のアイテムとか創って援護してたでしょ?」

「援護?あんなもんは援護とは言わん!」

「私達にも被害が及んでましたしね」


 そう言って来たのは、もう一人の前衛のガロスと、僕と同じように後衛に徹していたリュミエールの二人だ。


「いや、普通に考えれば煙玉はこっちから見えるようにしたら、モンスターからも見えるでしょ!」

「それだけじゃねえだろうが!」

「閃光弾もよ!」


 ガロスといっしょになって責め立てて来るのは、パーティーの中でも特殊な立ち位置にいるミレイナだった。


「閃光弾も悪臭弾も、どんなモンスターにも効くようにしたら僕らの方にも被害が出るとは伝えといたでしょ!?」

「限度ってもんがあるんだよ!悪臭弾なんて花がもげるかと思ったんだぞ!!」


 僕らが言い争っていると、今まで静観していたセリオスが口を開いた。


「お前を追放する理由はもう一つある。こい!」

「ど、どうも、調合師のノイといいます」


 セリオスの呼びかけに応じて、掴みどころのない痩身の男が出てきた。


「そいつは、だれ?」


 僕の問いには、衝撃的な答えが返ってきた。


「お前の代わりの新しいパーティーメンバーだ」

「で、でも、七英雄の資格とかは持ってないでしょ!?」


 そんな希望にかけて、僕が訊くと、


「いや、こいつは神殿で調べてもらったが、七英雄としての資格を持っている」

「......え?」

「そういうことですから、貴方は用済み、というわけです」


 僕が絶望にくれているうちに、みんなは去っていった。

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