いじめられっ子の私と学園一カッコいい彼
踊るrascal
第1話 貴方の顔はまぶしすぎる
私は教室の隅が定位置だった。
黒板の文字は見えるけど、
クラスのみんなの視線はいつも怖くて、
できるだけ存在を薄くしていた。
「また一人でいるの?」
背後から聞こえた声に、心臓が跳ねる。
振り向くと、
そこにいたのは学園一のイケメン
桐生くんだった。
背が高くて、笑うと女子が騒ぐ人。
私とは、世界が違うはずの人。
「……うん」
それだけ答えるのが精一杯だった。
彼は私の前の席に座ると、
何でもないように言った。
「ここ、静かでいいよね。俺も好き」
その日から、
彼はよく私の隣に来るようになった。
誰かにからかわれても、
何も言わずに私の前に立ってくれた。
「やめろよ。人が嫌がってるだろ」
たったそれだけの言葉なのに、
世界が変わった気がした。
ある放課後、校舎裏で彼に呼び止められた。
「俺さ、君の笑った顔、好きなんだ」
驚いて顔を上げると、
彼は少し照れたように笑っていた。
「一緒にいると落ち着く。
……付き合ってくれない?」
信じられなかった。
いじめられっ子の私と、学園一の彼。
「私で、いいの?」
そう聞くと、彼は即答した。
「君がいい」
その瞬間、胸の奥が熱くなって、
初めて泣きながら笑った。
教室の隅にいた私の世界は、
彼の隣で、少しずつ色を持ち始めた。
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