第5話 ダンジョン協会
リズ・エリサの家でお粥を食べた俺は、朝の7:00になり帰宅の準備を始めた。
俺の家庭は母子家庭で母親はもう既に仕事へ行っていて居ないから、心配される事は無いだろう。
母が家にいる時間帯は、昼頃から夜の7時間でそれ以外は基本的に仕事か、寝ている。
朝ごはんと弁当、作り置きしてあるだろうし一旦家に戻ってから学校行かないとな。
「あ、もう帰っちゃう感じ?」
部屋で荷物をまとめていると部屋の主であるリズが質問してきた。
「はい、長居するのもあれなので。お世話になりました。それと助けていただきありがとう御座いました。このご恩は決して忘れません」
「もぉ~そんな固い挨拶よしてよぉ。人って、助け合って生きていくんだよ? だから気にしないでね」
「すいません、いつか恩を返しにいきますので」
「うん、期待してるねっ」
玄関の前まで到着し、下駄箱に置いてあった自分の靴を履いて靴紐を緩め、締める。そして、バックを持って立ち上がった。
「それでは、また何処かで会いましょう」
ドアノブに手をかけながら、カグは最後の挨拶をした。
すると、リズは何かを思い出したのか、待ったと声をかけてきた。
「ごめんね、今思い出したことなんだけど、伝えたくて。トラップエリアをクリアする条件はエリア内の全モンスターを倒すことだけど、報酬は最後の敵を倒した人だけに与えられるの。だから私が受け取っちゃったんだけど、これはカグ君のものだから渡したいんだよね」
「いえでも、最後の敵を倒したのはリズさんです。俺に受け取る資格は無いですよ」
「だーめ。トラップエリアで得られる報酬は結構豪華なんだよ? だからきっと役に立つと思うの、だから受け取って!」
そう恩人の人に強く言われたので、断る事は出来ないだろう。せっかくだし受け取っておくか。
「それじゃ今日の放課後、君の学校の校門にいるから。一緒にダンジョンへ行こっか!」
「はい、分かりました。それでは失礼します」
俺は、一瞬その言葉を理解できずにドアノブを回しドアを開ける。そして閉めた瞬間に理解してしまった。
リズさん──俺の学校知ってるの? いやいや、そこじゃないだろ。リズさんが校門にいるって、リズさんって有名人だよな? 学校のやつらも、紅猫団について話していたし……校門にいる時点で注目されるのは必然だ。
そんな中、俺があの人の元へ行ったら──間違い無く、ややこしい事になるぞ!?
「ちょま──リズさん!? 学校じゃ無くて、ダンジョンの入り口で待ち合わせにしましょう!!」
慌ててドアを開けて、さっき承諾した内容を訂正する。
「リズさ──ん!?」
「あれ──?」
焦ってノック確認をしなかったせいか、リズが部屋着を廊下で脱いでいた。
既に腕を通し、服が上がってしまっている。俺は、身につけている下着を不覚にも見てしまった。
バンッ──!
即座にドアを閉めて、見ないように配慮する。だが、色と形を知ってしまった。
「ご、ごめんなさい! そんなつもりじゃ無くって──ていうか、何でドア閉めた瞬間、脱いでるんですか!?」
「もぉーそんなに私の下着姿見たかったら、言ってくれたら良かったのに……ふふっ、見たの?」
ドア越しのリズはそう言うが、明らかに圧を感じる。
間違いなく怒ってるよな……最悪だ。
「わざとじゃないんです! ほんとに違うんです!」
「分かってるよ、ちょっとからかっただけだから」
この人の性格がなんとなく分かってきた気がする。
リズの家を出てから30分歩いた後、カグはようやく自分の家につき、荷物を置いた。
アパートの一番奥、205号の扉を開けるがいつものように鍵は開いている。
不用心にも程があると思いつつ、机に置いてあった朝ごはんと弁当に、温かさとありがたみを感じた。
カグは──冷たい目玉焼きと茶碗一杯の米を食べながら、現状について考える。
今必要なのは、レベル上げだろう。100層までソロで到達する為には、レベルを上げて、スキルを解放して強くなっていくしか道は無い。
それに加えて、装備や武器も豊富に質がよく調達しなくてはならない。お金も必要不可欠か。
夏休みは7月25日からの1ヶ月間。今日は7月25日……あれ、今日から夏休みだったのか。
死にかけたせいで、そうだった事を忘れていた。というか絶対、今日から夏休みだって、リズさん知ってただろ……。
まぁ目的は決まったし話は簡単、夏休みの間ダンジョンに籠ってレベル上げをする。
そうと決まれば、ダンジョン協会へ行こう。
ダンジョン協会には、様々な施設やサービスが揃っている。ダンジョンへの入り口を初めとして、武器や装備が売ってあるショップがあり、試し斬りやAIモンスターとの模擬戦が出来る戦闘場もある。
カグは建物の中にある、情報掲示エリアへ向かっていた。
情報掲示エリアは、今まで攻略した層のモンスターの強さやボス攻略の方法などが記載してあり、色々な冒険者が情報を持ってくる為、逐一情報が更新されている。
そこで、カグは1層から10層までの情報を見ていた。
1層のボスは、ただのオークか。ゴブリンと違って、2倍の身長と体格差だが、大してパワーは無い。スピードも遅いため、初心者パーティが気持ちよく勝てるボス……か。
武器は肉切り包丁、ギミックなし、推奨レベルは3。
なるほどな……今日はまず、この1層のボスを倒す事を目標にレベル上げをした方が良さそうだな。
そう思い立ち、カグはダンジョン入り口へ到着。ダンジョンカードを読み込ませて、再び1層へ足を踏み入れた。
今日の目標は、レベルを5まで上げることだ。レベルが高ければ高いほど、レベルは上がりにくくなり、特に60を超えてくると、レベルを上げるのに相当な数のモンスターを倒さなくてはいけないらしい。
だが、最初はレベルを上げやすい。今のうちに経験値をためておこう。
奥へ進む事5分、最初のモンスターが姿を現した。その姿は、丸く、透明な見た目をしている。
スライムか……1層だもんな。
先にゴブリンと対峙しているせいか、カグはその迫力のなさに困惑してしまった。初心者セットの剣を振り上げ、難なく撃破。スライムは粒子となって跡形もなく消え失せた。
流石にもっと緊張感というか、接戦した戦闘がしたいな。もう1層のボスに挑んでもいいだろうか。
2層に上がってもいいが、なるべく層のボス倒してから次の層へと進みたい。その理由は、なんか……ズルしているみたいで嫌だから。
だってそうだろ? 情報も無いまま命がけで戦ってその層を攻略してくれたパーティが居るのに、自分は開けた道を進んでひょいひょい行くって、俺は嫌だな。
だから、1層1層ボスを倒してから進んでいこうと思っている。
30分後……カグは萎えていた。
いや──スライムばっかぁ──。
全然楽しくないんだけど、ていうか30分くらい練り歩いて、スライムに遭遇したの5体って。1層はやっぱり狩り尽くされてるよなぁ。
仕方ない、レベル1だけどボスに挑んでみるか。
あ、そういえばスライムの落としたドロップ素材って、インベントリに入ってるんだったな、見てみるか。
ダンジョンカードを取り出し、親指をつける。するとスクリーンにステータスが表示された。
あれ──レベルが6になってる。
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