#4

「ヤマトー」


まなとママが、吾輩をそう呼ぶようになった。

某宅配便のキャラクターからとったらしい。

「真叶(まなと)とヤマトでいいじゃない」

とのことだ。


真叶とは、お互いになるべく距離をとり、静かに観察し合っていた。

急に接近して騒がれたりしたら、元も子もない。

時間は少々かかってしまったが、とりあえず佐久田家には受け入れられたようだ。


真叶は毎日、学校に通い、何事もないように過ごしている。

特に外傷などは見当たらない。

家族は気づいていないのだろう。

自分の子がいじめられ、さらに猫を虐待していることを。


そろそろ、いじめっ子の情報が欲しいところだ。


「明日、ヤマトを病院に連れて行こうかしら。注射とか受けてないだろうし」


グルンと、ママのほうへ三角耳を向ける。

(よし。いじめっ子のところへ行く決行日が決まった。明日だ。)


真叶ママがキャリーバックを用意する頃、

こっそりと家を抜け出した。

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