スクランブルエッグ・カレッジ
川上水穏
一年二月
すべての学生は自主組織の一員として行動せよ。
「牧野。写真部に入らないで写真撮影してるってホントか?」
「なんだよ、それがどうしたってんだよ」
「学生会執行部に入らん? 人が足りてないんだよね」
「そりゃそうだろ。この田舎で少子高齢化の波じゃあ」
「学内向けのネット記事のライターやらない? その写真撮影の腕、使ってさ。頼む! 頼むよー! 完全技術系じゃなくて言語ができるやつが欲しいんだよ。頼むよ、牧野。お前、英語の点数はいいんだろ」
「ま、まぁ、そうだな」
「ほら! 決まり! これから学生会執行部に向かおうぜ」
英語の点数がいいという点だけに頷いたつもりだったが、暇を持て余していた僕はほいほいと名前を覚えてない同級生についていくのだった。
「会長。創造デザイン工学の牧野を連れてきました」
「ありがとう。牧野くん、君に頼みがあるんだ。ぜひ一緒に学生会執行部で活動してくれないか。広報部では学外向けの広報誌と、学内LANからのみアクセスできる学内向け広報誌の存在は知っているかな?」
「今、初めて聞きました」
「ならば、ちょうどいい。牧野くんみたいな人間にはちょうどいい仕事があるんだ。航空宇宙同好会を知っているかい?」
「いえ、それも初めて聞きました」
「今年、種子島へワークショップに参加したようでね。このまま同好会として存続するのか、はたまた部活へ昇格するのか、牧野くんの目で確かめて欲しい」
広報部部長は、同じ創造デザイン工学の先輩だった。
「この学校の中じゃ、文系科目やコミュニケーション論に強いからな。他にも渉外部で活躍してるやつもいる。それじゃあ、新入生向けに学内ガイダンスを書いてもらおうかな」
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