第10章 「謎の光と胸のときめき」

ある日の放課後、教室で二人は文化祭の片付けを終え、帰ろうとしていた。

「ねえ、桜井…ちょっと待って」

蓮(咲)が呼び止める。咲(蓮)は振り返り、少しドキドキしながら近づいた。


「なんだろう?」

「この前、図書室で見つけた古い本、覚えてるか?」

蓮(咲)は少し神妙な顔をして、咲(蓮)にその本を差し出した。ページを開くと、そこには奇妙な光の記述と“身体が入れ替わる現象”の伝説が書かれていた。


「…これ、私たちのこと…?」

咲(蓮)は目を見開く。どうやら、入れ替わりには偶然だけでなく、何かしらの原因があるらしい。


その時、教室の窓から不意に光が差し込み、二人を包む。驚く二人の目の前で、光が一瞬強く瞬く。

「え…なにこれ!?」

咲(蓮)は声を上げ、蓮(咲)も同じく驚く。


光が消えた後、二人は息を整えながらも、自然と手を握り合っていた。

「……桜井、やっぱり君と一緒だと安心する」

蓮(咲)は顔を赤らめ、目をそらせながらも、手の温もりを離そうとしない。


「私も…蓮と一緒にいると、変な気持ちになる…胸が、ドキドキして…」

咲(蓮)は小さくつぶやく。互いの目が合い、自然と笑みがこぼれた。


放課後の静かな教室で、二人は肩を寄せ合い、心の中の気持ちを確かめ合う。入れ替わりという不思議な状況が、二人の距離をぐっと縮めた瞬間だった。


「……元に戻る方法、探そう。でも、それまで…桜井、手を繋いでてもいい?」

蓮(咲)の声に、咲(蓮)は恥ずかしさと幸福感で頬を赤くする。

「うん…ずっと、離さないで…」


光の謎はまだ完全には解明されていない。でも、二人の心は確かに結びついた――入れ替わりがもたらした奇跡のような日々は、二人にとってかけがえのない宝物になっていた。

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