第4話

 「セリアさん、スワンさん。早速ですが、街の外に出てモンスターと戦いに行く許可を下さい。

 あと、戦う時に使える武器を貸して下さい。

 あと、できるだけ安全で弱いモンスターがいる場所を教えて下さい。」


 4年間はあっという間だろう。その期間でしっかり稼げるようにならないといけない。

 孤児院を出たら、今は自分で負担していない家賃や食費といった生活費がたくさん必要になる。それらが必要ないうちにしっかりレベルを上げて強くなりたい。

 そのために必要なものをセリアさんとスワンさんに質問する。


 「許可を出すには条件があります。

 昼食後に冒険者ギルドに行きましょう。そこでギルドに登録して、弱いモンスターのいる場所を確認すること。そしてそこ以外には行かないこと。もしそれ以外の場所に行く場合は必ず私かスワンに許可を得ること。ケガをすることがあればしばらく街の外に行くことは禁止となること。

 これが条件です。これは今まで騎士や剣士のジョブに就いた子達も同じ条件でした。ディックスのジョブが戦闘向きなのか不向きなのか分からないのが不安ですが、しっかりしているあなただから戦闘向きと同じ扱いとします。

 あと、武器についてはギルドで初心者向けのレンタルをしているのでそちらを利用するようにして下さい。」


 色々と条件は出されたが特にデメリットは無い。

 ケガに気をつけて毎日戦いに行けるようにしよう。



 昼食後、スワンさんに連れられて冒険者ギルドへやってきた。

 冒険者ギルドは孤児院に比較的近く、街の南門のそばにあった。領主館と比べてシンプルだが同じくらい大きな建物だった。

 中に入ると領主館と同様に机で書類仕事をしているギルド職員がいた。ただ、領主館よりも人数が多く、ギルド職員とやり取りするための机も多く置かれている。

 スワンさんにそちらに連れて行かれ、それを見た若い女性のギルド職員が手前の机までやってきた。


 「どのようなご用件でしょうか。」

 「孤児院のスワンと申します。この子のギルド登録をお願いします。

 それと孤児院の子がいつもやっている通り、モンスターの分布の資料の閲覧と武器のレンタルをお願いします。」

 「分かりました。では登録する人のマイカードを出して下さい。」


 慣れた感じでスワンさんが対応してくれた。セリアさんが今までも同じ条件だと言っていた通り、ギルドの方も慣れているようだ。

 言われた通り、マイカードを出して職員さんに渡す。それを受け取るとカードを手に奥に向かっていった。

 数分後、カードと数枚の紙を持った職員さんが戻ってきた。


 「ギルド登録が完了しました。マイカードの補足情報にランクと武器レンタルをしている記載が追加されてますので確認してください。

 今後ギルドで依頼を受ける場合はマイカードをここの受付に出して依頼を受けたい旨を伝えて下さい。

 あと、こちらがこの街の近辺のモンスターの分布の資料になります。」


 マイカードを受け取り、記載されている内容を確認する。


vvvvvvvvvv

名前:ディックス

ジョブ:

所持金:10G

補足情報:ジョブは読めない文字での記載のため王都にて調査中(クロス伯爵領)

冒険者ギルドランクG、初心者武器レンタル中(クロス伯爵領冒険者ギルド)

vvvvvvvvvv


 冒険者ギルドランクとレンタル中であることが追記されていた。

 ギルド職員さんから詳しい説明を聞く。

 ランクはGから始まり、依頼を達成することでランクが上がり、最高ランクはSとなること。依頼の失敗が続いたり、素行に問題があるとランクが下がることもあること。レンタルはギルドの受付ではなく裏手にある解体所で行うこと。武器を紛失した場合は罰金があること、破損の場合は罰金はないので破損しても捨てずにギルドに持ってくること、レンタル料は依頼の達成時の報酬から1日あたり500Gが引かれること、初期費用と本日のレンタル料として1,000G掛かること。なお、初期費用はスワンさんが払ってくれた。

 説明を聞いて、しばらくの目標は1日500G以上稼ぐこと、その上で初期費用の1,000Gをスワンさんに早く返すこと、そしてレベルを上げること。この3つに決めた。


 モンスターの分布についての資料はそのままもらえるとのことで、それを受け取り解体所に向かう。

 解体所の人にマイカードを見せて、レンタルの武器を選ばせてもらう。

 剣、槍、斧、盾。その他にも色々なものが解体所の隅に置かれていた。これらは鍛冶師見習いが練習として作り、それを格安でギルドが買ったものであり、品質は鍛冶師が作った店で売っているものとは比べ物にならないとのこと。それでも弱いモンスターを相手にするなら問題ないと説明を受けた。

 レンタルできるのは1つだけなので、この1年間の鍛錬で使い慣れている剣を選んだ。何本か手に取り、軽く振ったり手で叩いて、一番良さそうなものを選ぶ。


 「しっかり活動していいやつを買えるようになれよ。

 武器が破損して交換する時やレンタルをやめる時はここに来いよ。」


 解体所の人に対応してくれた礼をして、スワンさんと共に孤児院に戻る。

 夕食までまだ時間があるので、受付でもらったモンスターの分布の資料を確認する。


 この街は海に近いと教えてもらっていたが、北側は森があり、さらに遠くには山が連なっていて、街から離れるほど強いモンスターがいるらしい。

 一方で南側は少し離れると海が広がっており、そこまでは草原が続いていてここは弱いモンスターしか出ないエリアになっているとのこと。

 東西はそれぞれ海沿いに別の街への道が続いており、道の南北はそれぞれ草原・森になっていて、街の南北と似たような環境になっている。

 草原にいるモンスターで一番多いのはスライム、その次がワーム、ジャイアントラット。

 海に近い所まで行くとホーンラビットもいるらしい。前3つは初心者でもしっかり鍛錬していれば1対1なら問題ないそうだ。

 まずは街の近めの場所でその3種類を相手に稼ぐようにしよう。

 その後も資料に記載されていたモンスターの情報を読み込む。


 夕食の後、片付けをしているセリアさんとスワンさんに、明日からモンスターと戦いに行くこと、向かうのは街の南側の草原で、街が見える範囲でスライムを狙うことを説明した。

 草原に生息しているモンスターは何がいるか、どういった特徴があるか、どういう攻撃をしてくるかを質問されたが、資料に書いてあったので答えていく。

 しっかり資料を読んで準備ができていることを確認したのか、無事に許可を出してくれた。


 明日からの戦いを楽しみに、早めに眠りにつく。

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