スケープゴート

 無意識の浮力を感じた私は、朝日など拝みたくもなく、水底にむかって潜り続け、覚醒と微睡の狭間に引きこもる。


「止めて」と言っただけじゃなのに、

「私は悪くない」と示しただけなのに、


 故郷からは追い出されて、私の無罪は、握りつぶされた。


 冤罪を背負ったまま生きて行け、という、血族の顔を掻き消すように。


「お母さんが死んじゃうよ! 薬を飲ませてあげてよ!」


 と、息子の叫び声が聞こえた。


 君は愛されてても、私は違う。

「あいつさえいなければ」と、口封じされ続けた人生なんだ。

 

 微睡の浅瀬に気泡がぷかぷか浮いた。

 氷柱を溶かしてゆく朝日が、瞼を優しくなでてゆく。


 舌を動かすと、ヤスリのようのざらつく口内。

 頭痛と口内のねばつきを解消する為に、いつの間にか差し入れされた、ミネラルウォーターを飲み干した。


 真実から逃げ続けて、未だ自らの過ちを負えぬ君と、

 真実を基に命を紡いで、死にそうになってる私。


 私はそちらを、選ばぬよ。

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