第2話
「またなにか良い条件があれば紹介してあげるわ」
ルイスにそう言われ、ノヴァはギルド本部から外に出た。
するとお腹がぐーっと鳴る。
「……なにか食べないと」
大柄なノヴァには多くのカロリーが必要になる。加えて唯一の趣味とも言えるのが食事だった。
(どこかいいお店ないかな……)
ギルド本部がある王都には多くの食堂やレストランが軒を連ねる。一流シェフが作る高級なものから大衆料理まで様々だ。
料理のできないノヴァは基本的に外食で腹を満たしている。加えてできるだけ賑やかな店が好きだった。そこで周りの人の会話を聞いたりすると孤独が紛れる。
なにより人が多いと自分への注目が減るのがありがたい。
ノヴァがお店を探しながら道の端っこを猫背で歩いているとどこからか女の子の声が聞こえてきた。
「誰かその子捕まえてっ!」
ひったくりだろうかと思ってノヴァが声のする方向を振り向くと、そこには二足歩行のねこ型モンスター、ケットシーを追いかける可愛らしい女の子が叫んでいた。
「お願い! せっかく手に入った食材なの!」
ノヴァは(食材?)と不思議がった。すると長靴を履いてネクタイを締めたケットシーが魚を抱えているのを見つけた。
『ニャルニャーオ♪』
周りの人達が女の子の声を聞いてケットシーを捕まえようとするが、すばしっこくて誰にも捕まえられない。
もうダメだと誰もが諦めた時だった。迂闊にもノヴァの間合いに入ってしまったケットシーの姿が一瞬消えた。
気が付くとノヴァはケットシーの首根っこを捕まえている。
それを見てエルシーは唖然とした。
「は、はや……。てかデカ」
駆けつけたエルシーはノヴァを見上げた。ノヴァは視線を合わせられず、キョロキョロしながらエルシーにケットシーを差し出す。
「……ど、どうぞ」
「ありがとう」
エルシーがケットシーを受け取ると周囲の観衆がわっと沸いた。
「すげえ! よく捕まえられたな!」
「取ったとこ見えたか? それによく見たらあれって孤高の騎士じゃね?」
「そうだ! S級のノヴァだ!」
存在を気づかれ、ノヴァは顔を赤くして黙り込んだ。
エルシーは不思議そうに周囲の反応を見ていた。
「え? 有名人なの?」
「ひ、人違いです……。じゃ……」
ノヴァは我慢できず、その場からものすごい速さで逃亡した。
残されたエルシーはきょとんとしてあっと言う間に見えなくなったノヴァの背中を見つめていた。
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