転生勇者は私が確殺!
ユキ
プロローグ「VS最強勇者」 前編
ダンジョン最深部。一人の男が荘厳な扉の前に立っていた。
誰もが身惚れそうな整った甘い顔、アスリートであるかのような鍛えられた肉体。何も体だけではない。煌びやかな鎧にこれまた煌びやかな剣。まさに勇者と呼ぶに相応しい男だ。
勇者が一人、そう、たった一人だけで最深部まで到達していた。
「お前がここのボスだな!」
扉の向こう、広間の奥。
一つの仰々しい玉座が背を向けて置かれている。そこに腰掛ける相手に、勇者は声を荒げた。頭から突き出た角が、魔族であることを示している。
勇者の叫びに、魔族は何も言わない。何度も聞いたことのある台詞だと言わんばかりに、うんざりしたような空気だけを漂わせる。
そんなことを露知らず、勇者は魅力ある顔に反して知性のない言葉を投げた。
「魔族め、今日がお前の命日だ!」
それでも決まったとばかりにドヤ顔を決める勇者。側から見れば痛い発言しかしていないのだが、この勇者にとっては決め台詞なのだろう。事実彼は、
(決まったー!俺の華麗な名言!魔族も俺の決め台詞に何も言えてねーでやんの!)
まるで三下が言うようなセリフを心の中で叫んでいた。そんな彼の醜い妄想は続く。
(さーて、俺の華々しいデビュー戦を華麗に決めて、戻ってギルドに報告すれば俺は真の勇者として認められる!そうすれば……)
「女連れて酒池肉林の乱痴気騒ぎができる、とでも思ってるのかしら?」
「なっ!?」
魔族の言葉に勇者と名乗る人間は一字一句心に思ったことを言い当てられ、驚きを隠せない。しかし直後、心の防衛本能による焦りと怒りが男の頭を支配した。
「て、テメェ!なんでわか……さてはテメェも『チート能力』持ってるな!」
男は声を荒げて叫び散らす。ヒートアップする人間とは逆に、ため息を一つ付いて呆れたように魔族はこう答えた。
「私は魔族よ?それは貴方たち人間の、いや、ここに『転生した』人間の能力でしょう?」
そんな常識も知らないの、と返されて男は黙り込む。ここでいきなり暴れない人間に、今回はそんな感じか、と聞こえない程度に独り言を呟く魔族。再度ため息をついた後、魔族は人間に質問を投げかけた。
「で、貴方の『チート能力』は何かしら?」
そう言って魔族は玉座から立ち上がり、人間の方に姿を現す。頭にあるツノを除けば、抜群の容姿に女性として整った体つきな美人。勇者は想像していたものより綺麗な姿に思わず見とれたが、すぐに表情が変わる。
その顔は先ほどまでと異なり、非常に醜悪な笑顔を向けた。
「俺様はなぁ!この世界で最強のチート能力、『
そう言うと勇者ゼノチートは魔族に襲いかかった。
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