第18話 隙間ダイエット

 お菓子を断った絶望からようやく立ち上がり、オレはまた姿見の前に来ていた。


「それにしても、デブだなぁ……」


 もう押せば転がっていきそうである。


 その顔を見ると、お肉に押しつぶされて、不穏な笑みを浮かべる細目みたいになっていた。あれだ。中盤で裏切る糸目キャラみたいになってる。


「これは痩せないとなぁ。痩せろと言ったシャーロット殿下の気持ちもわかる」


 そろそろ当初の予定通り、スクワットをしようかな。


「あ!」


 スクワットを始めようとして、足を肩幅に開いたところで、オレは重要なことを思い出した。


 そういえば、シャーロットの試練で氷の盾を壊す時、魔法練習場の壁を壊すだけではなく、庭の木々を薙ぎ倒してぐちゃぐちゃにしてしまったのだった……。


「カーラ」

「はい? どうかされましたか、エドワード様?」

「その、だな。カーラは知っているかもしれないが、ちょっとやりすぎてしまって、魔法練習場の壁を破壊してしまってな……。早く父上に謝りに行った方がいいかな? 怪我人とかいたら大変だし……」

「そのことでしたら、すでに旦那様に報告済みです。謝罪は不要とのことでした。むしろ上機嫌に笑っておいででした。ちなみに、怪我人もおりません」

「え?」


 なんで施設に大穴を開けたのに怒られないどころか上機嫌になるんだ? よくわからんな。


 でも、怪我人がいなくて本当によかった。


 まさか、オレもあんな高威力な魔法になるとは思わなかったからさ。氷の盾を壊すだけでよかったのに。壁は壊すし、庭もめちゃくちゃにしちゃうし……。これからは使う場面を考えないとな。こんなことではまたバージル先生に呆れられてしまう。


「ほな、ええか……」


 そう言って、オレはスクワットを開始する。


 スクワットは正しいフォームですることが大事だ。フォームが崩れていると、効果が半減するどころか膝や腰を痛めたりする。今でも自分の体重で膝には負担がかかっているからね。大事に使っていきたい。


「ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ」


 正しいフォームでスクワットをすると、太ももというよりお尻に乳酸が溜まっていく。お尻も引き締められるおすすめの運動だ。


 だんだん体が熱くなってきたぞ。


「ふぅー」


 だが、オレは汗をかく手前でスクワットをやめる。


 いや、オレだって汗をかきながらスクワットをやりたいよ?


 でも、いつシャーロットが起きるのかわからない状況だ。できる限り汗でべちゃべちゃになるのは避けたいところだ。


 そして、休憩して体温が下がったところで、またスクワットを再開する。


「ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ」


 しかし、シャーロットの供応役か。供応役って何をすればいいんだろう?


 シャーロットをもてなせばいいというのはわかる。


 でも、問題はどうやってもてなすかだ。


 前世でも女の子とつきあったことがないオレだ。どうすれば女の子が喜ぶのかもわからない。


 しかも、相手は女の子だが、王族の女の子で、立場はオレよりも上だ。


 ますますどうすればいいのかわからない。


「うむー……」


 今、切実に近くに遊園地が欲しい。


 だが、現実はいつだって非情だ。エドワードくんの記憶のどこを漁っても、遊園地の記憶はなかった。かなちい。


 だが、遊具の記憶はあった。


 ブランコだ! なんと庭の一角にブランコがあるらしい!


 しかも、エドワードくんがブランコで遊ぶのを見守るためだろう。ブランコの近くにはバルコニーが造られている。ここにお茶とお菓子を持って遊びに行くというのはどうだろう?


 ブランコで遊ぶのもよし、お茶するのもよしだ。


 これでいこう!


「カーラ、シャーロット殿下が起きたら、お茶を持って庭に遊びに行こう。準備を頼む」

「かしこまりました」

「ふぅー」


 一応の予定が決まり、ちょっと安堵した。


 問題は、シャーロットがブランコが好きではないという可能性だが……。そんなこと考えていたらどこにも誘えなくなってしまうよな。


「エドワード様、シャーロット殿下が目を覚まされたようです」

「そうか……」


 そのままスクワットを続けること三十分ほど。ついにこの時が訪れた。


「行くか」


 オレは滲んでいた汗を拭うと、カーラを引き連れてシャーロットの部屋へと向かう。


 カーラがコンコンコンッとノックすると、少しだけドアが開いた。


「シャーロット殿下にお会いしに来た。取り次いでくれ」

「かしこまりました。確認してまいります」


 そして閉じられるドア。


 オレが来ることはあらかじめ予想していたのだろう。すぐにドアが開かれる。


「入室の許可がありました。どうぞこちらへ」

「ああ」


 メイドが開いたドアをくぐると、シャーロットがソファーの中央に座っていた。


 相変わらず、超が付くほどの美少女だ。その佇まいは、ただ座っているだけで絵になるほど美しい。だが、その顔はまるで氷の彫像のようにゾッとする美しさに満ちていた。


 なんか、ちょっと怖い。


「シャーロット殿下、エドワード・オールディス参上いたしました。お加減いかがですか?」







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