第21話
禁術の訓練を始めて、一週間が経った。
結衣は、ついに【天罰の光(ディヴァインレイ)】を習得した。
「やった……!」
訓練場で、結衣は喜びの声を上げた。
空から降り注いだ光の柱が、的を完全に破壊した。
「よくやった、結衣」
ヒューゴが近づいてきた。
「これで、君も禁術使いだ」
「ありがとうございます、先生」
結衣は深く頭を下げた。
「だが、忘れるな」
ヒューゴは真剣な顔で言った。
「この魔法は、最後の切り札だ。軽々しく使ってはならない」
「はい」
結衣は頷いた。
寿命を一年削る。
それは、あまりにも大きな代償だ。
「さあ、戻りなさい。明日は、作戦会議だ」
「はい」
結衣は家に戻った。
その夜。
全員が集会室に集まった。
冴子救出作戦の、最終会議だ。
「では、始める」
山本が立ち上がった。
「冴子は、東京都内の政府施設に拘束されている」
山本は地図を広げた。
「この施設は、覚醒者専用の拘置所だ」
地図には、高いビルが示されていた。
「警備は厳重だ。外周に兵士が二十名。内部に五十名」
「さらに、覚醒者の看守が十名いる」
全員がため息をついた。
「勝てるの?」
一人のメンバーが聞いた。
「正面から戦えば、負ける」
山本は断言した。
「だから、奇襲をかける」
山本は別の地図を広げた。
「施設の地下には、下水道が通っている」
「ここから侵入する」
「なるほど……」
「侵入チームは、五名だ」
山本は五人を指名した。
「私、紫苑、結衣、明日香、そしてヒューゴ先生」
「他のメンバーは?」
「正面で陽動作戦を行う」
山本は説明した。
「敵の注意を引きつける。その隙に、我々が侵入する」
「いつ決行する?」
「明後日の夜だ」
山本は全員を見回した。
「準備期間は、一日しかない。各自、万全の準備を整えろ」
「了解!」
全員が返事をした。
会議は終わった。
だが、結衣の胸には――
不安が残っていた。
本当に、成功するのか。
冴子を、救えるのか。
会議の後。
結衣と紫苑は、外を散歩していた。
月明かりが、二人を照らしている。
「明後日か……」
結衣が呟いた。
「うん……」
紫苑も緊張していた。
「成功するかな」
「わからない」
紫苑は正直に答えた。
「でも、やるしかない」
「そうだね……」
二人は沈黙した。
しばらく歩いて、川辺に着いた。
「ねえ、結衣」
「ん?」
「もし、私が死んだら……」
「またその話?」
結衣は紫苑の口を塞いだ。
「もう、そういうの禁止」
「でも……」
「ダメ。私たち、二人とも生き残るって約束したでしょ」
結衣は紫苑の手を握った。
「だから、死なない」
「……うん」
紫苑は頷いた。
「約束」
二人は指切りをした。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます」
何度目の約束だろうか。
でも、その度に――
二人の絆は強くなっていった。
「ねえ、結衣」
「ん?」
「今夜、最後まで愛し合おう」
紫苑は結衣を見た。
「明後日が、本当に最後かもしれないから」
「……うん」
結衣は頷いた。
「家に戻ろう」
二人は手を繋いで、家に戻った。
家に戻ると、明日香はまだ帰っていなかった。
二人きりだった。
「じゃあ……」
紫苑が結衣を押し倒した。
「え、ちょ、ちょっと……」
「我慢できない」
紫苑は結衣にキスをした。
深いキス。
舌が絡み合う。
「んっ……」
結衣も応じた。
二人は服を脱ぎ始めた。
急いで。
もう、待てなかった。
裸で抱き合った。
肌と肌が触れ合う。
「結衣……」
「紫苑……」
紫苑の手が、結衣の体を撫でる。
胸。
お腹。
太もも。
そして――
最も敏感な場所。
「あっ……!」
結衣の声が漏れた。
「気持ちいい?」
「うん……すごく……」
紫苑の指が、結衣の中に入った。
「んっ、あぁ……」
結衣の体が震える。
「もっと、声出して」
「で、でも……明日香が戻ってきたら……」
「大丈夫。まだ戻ってこない」
紫苑は動かし続けた。
結衣の表情を見ながら。
「あっ、あぁ、紫苑……!」
結衣の声が、部屋に響く。
「もう、ダメ……イっちゃう……!」
「いいよ、イって」
「あっ、ああああっ!」
結衣の体が痙攣した。
絶頂に達した。
「はあ、はあ……」
結衣は荒い息をついた。
「すごかった……」
「結衣、可愛かったよ」
紫苑は微笑んだ。
「今度は、私の番」
結衣は紫苑を押し倒した。
「ちゃんと、お返しするから」
「結衣……」
結衣は紫苑の体を愛撫し始めた。
首筋にキスをする。
鎖骨を舐める。
胸を揉む。
「んっ……結衣……」
紫苑の声が漏れる。
結衣は徐々に下に降りていった。
お腹にキスをする。
太ももを撫でる。
そして――
最も敏感な場所に、舌を這わせた。
「ひゃあっ! 結衣……!」
紫苑の体が跳ねた。
「ダメ、そんなに激しくしたら……」
「いいよ。たくさん感じて」
結衣の舌が、巧みに動く。
紫苑は必死に声を抑えようとしたが――
無理だった。
「あっ、あぁ、結衣……! もう、ダメ……!」
紫苑の体が激しく震えた。
絶頂に達した。
「はあ、はあ……結衣……すごかった……」
「紫苑が可愛かったから」
結衣は紫苑の隣に横になった。
紫苑は結衣を抱きしめた。
「愛してる、結衣」
「私も、愛してる、紫苑」
二人は深くキスを交わした。
そして――
もう一度、愛し合った。
朝まで。
何度も、何度も。
お互いの体を。
お互いの心を。
全てを。
確かめ合った。
もし、明後日が最後なら。
せめて、今夜のことだけは――
永遠に覚えていたい。
二人は、そう願いながら愛し合った。
翌朝。
結衣は体中が痛かった。
昨夜、激しく愛し合ったせいだ。
「いたた……」
起き上がると、紫苑も同じように体を伸ばしていた。
「おはよう、結衣」
「おはよう……って、私たち、やりすぎたね……」
「うん……でも、後悔してない」
紫苑は微笑んだ。
「すごく、幸せだった」
「私も」
結衣も微笑んだ。
二人は着替えをして、食堂に向かった。
食堂では、明日香が待っていた。
「おはよう、二人とも」
「おはよう」
「ねえ、昨夜遅くまで何してたの? すごい声が聞こえてたけど」
「え!?」
結衣と紫苑の顔が真っ赤になった。
「聞こえてた!?」
「うん。壁、薄いからね」
明日香はニヤニヤ笑った。
「まあ、いいけど。若いっていいね」
「も、もう……!」
結衣は恥ずかしさで顔が真っ赤になった。
三人は朝食を取った。
今日は、作戦の最終準備をする日だ。
武器の点検。
装備の確認。
ルートの暗記。
全てを、完璧にする。
午後には、全員で模擬訓練を行った。
侵入から脱出まで。
何度も、何度も。
完璧になるまで。
「よし、これで大丈夫だ」
夕方、山本が言った。
「明日の夜、決行する」
全員が緊張した表情で頷いた。
「では、今日は早めに休め。明日に備えて」
全員が解散した。
結衣と紫苑は、部屋に戻った。
部屋に戻ると、二人は黙ってベッドに座った。
明日が、決戦だ。
冴子を救出する。
成功するか。
失敗するか。
生きるか。
死ぬか。
全てが、明日決まる。
「怖い?」
紫苑が聞いた。
「うん……正直、怖い」
結衣は認めた。
「でも、行かなきゃ」
「うん」
紫苑も頷いた。
「一緒だから、大丈夫」
「うん」
二人は手を繋いだ。
「ねえ、結衣」
「ん?」
「もし、明日生き延びたら……」
紫苑は結衣を見た。
「南の島に行こう」
「え?」
「冴子さんを救出したら、もう戦いは終わり」
紫苑は微笑んだ。
「後は、他の人に任せて……私たちは、二人で逃げよう」
「でも……」
「いいの。もう、十分戦った」
紫苑は結衣の手を握った。
「これからは、二人だけの人生を生きよう」
結衣は迷った。
逃げてもいいのか。
でも――
「……うん」
結衣は頷いた。
「南の島に行こう。二人だけで」
「本当に?」
「うん。紫苑と一緒なら、どこでもいい」
結衣は微笑んだ。
「ずっと、二人でいたい」
「結衣……」
紫苑の目から、涙が溢れた。
「ありがとう……」
二人は抱き合った。
「約束だよ」
結衣が言った。
「明日、生き延びて、南の島に行こう」
「うん、約束」
二人は指切りをした。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます」
子供みたいな約束。
でも、二人にとっては――
何より大切な約束だった。
「じゃあ、寝よう」
紫苑が言った。
「明日に備えて」
「うん」
二人はベッドに入った。
抱き合ったまま。
「おやすみ、結衣」
「おやすみ、紫苑」
二人は目を閉じた。
でも――
なかなか眠れなかった。
明日のことを考えると、不安で。
「結衣、起きてる?」
「うん……眠れない」
「私も」
二人は目を開けた。
暗闇の中で、お互いの顔が見える。
「キス、していい?」
紫苑が聞いた。
「うん」
二人は唇を重ねた。
優しいキス。
でも、徐々に深くなっていく。
「結衣……」
「紫苑……」
二人は、また愛し合い始めた。
静かに。
丁寧に。
お互いの体を確かめ合うように。
明日が来るのが、怖かった。
だから――
今夜は、ずっと一緒にいたかった。
離れたくなかった。
二人は、夜が明けるまで愛し合った。
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