満員電車の余白

Aki Dortu

始発駅 満員電車の安全地帯

毎日、満員電車に乗っていると

僕にとっての安全地帯や

楽な時間帯が、だんだん分かってくる


たとえば、階段の下。

並ぶスペースが少なく、

人が溜まりにくいぶん、

息を置ける幅が、少し残る。


どの時間帯を選んでも

昔よりも、ずっと楽になった。


あの頃は押し合いへし合いで

入り口近くにいると

息をするのも大変で

下手をすると、つま先立ちになった。


今も押し合いへし合いは変わらない。

ただ、

肩をすくめずにいられるだけの隙間が

ほんの少し、できている。


それを知らない世代からすれば

今も「ぎゅうぎゅう詰め」だと言われそうだ。

けれど僕にとっては

息が戻る瞬間があるだけで

ましだと思ってしまう。


昔は、

水筒の口いっぱいまで入れて

蓋を締めるときに、少しこぼれていた。


今は、

口よりちょっと少なく入れて

蓋を締めても、こぼれなくなった。


そんな感覚。


この”ちょっと少なくて済む朝”が

いつか「適正量」になる日を

切に願う。

けれど、叶わない気もしている。


だから、

ちょっとの余白を

大切にする。

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