第2話 黒龍事件 その2
「さくりゃにごーちゃん?」
人より早く成長でき、すでに漢字も読める菜緒でも、まだ少し舌っ足らずだ。
「難しいなら、ばぁばでよいぞ?」
「ばぁば」
「うむ、して一人でどうしたんじゃ?」
「たんけん!」
菜緒は椿(母)から暇そうにしていた所、探検とかしてみない?と言われてやって来た。
ちなみに、こっそり陰から式神&使用人達が見守っている。今も部屋の外に何体か居る。
「蔵を探検か、ここは割と危険な物もあるんじゃが…」
蔵の中には、意思を持つ武具や、呪具に神具、爆弾みたいな物等々あって、ちょっと危ない…
『そうじゃ!どうせなら"アレ"を手伝ってもらおうかの』
桜二號は閃いた。
「探検するならもっと面白いところがあるぞ?」
「みゅ?」
「なんと、ドラゴンの住む異世界じゃ!!」
桜二號は菜緒に向かってバーンと勢いよく言った。
「キューじいがむかし居たとこ?」
「キューじい…コキュートスか」
コキュートス…菜緒の先祖であり、氷龍。
現在は北極で寝ている。
「そうじゃ、異世界探索中にコキュートスが主と恋に落ち、そのままついてきたんじゃよ」
桜二號の主、桜が異世界を散歩中にコキュートスの縄張りに入ってしまい、戦闘になった。
そして、コキュートスをなんとか返り討ちにした後、求婚をされ…受けた。
「いせかい…行く!」
菜緒は深く考えず、面白そうだからと簡単に行くことを決めた。
「そうかそうか!なら、ついでなんじゃが…向こうで鏡の欠片も探してもらってよいかの?」
「かけりゃ?」
「ワシの本体の鏡面なんじゃが、三割程行方不明での…見かけたらでいいんじゃ」
『これでも九百年程かけてゼロから集め直してもらったんじゃがな』
「ん!分かった!」
「では、鏡面を介して世界を繋ぐでな」
桜二號はおもむろに自身の胸元に腕を突っ込み、体の内側から鏡を取り出した。
「とりあえず、人の少ない所に《接続》」
鏡を宙に浮かせ、手を離す。
すると鏡から眩しい光が漏れ出し、数秒後には収まった。
鏡面には青空と、木々が映り込んでいる。
「ほれ、繋がったぞ?後は鏡面に触れればいい。楽しんでおいで」
「ん、いってきます!」
菜緒は鏡面に触れ、その場から姿を完全に消す。
…何処かから、ゴトッと物音がした。
近くの棚の上、箱の中から赤い髪束がスルスルと這い出、人の形になった。
「万華が起きてくるとは、珍しいの。」
「なんの騒ぎだ?鏡の」
万華は遺髪の付喪神:髪鬼であり、菜緒の先祖でもある。
「ちびっこを今、異世界に行かせたところじゃ」
次の更新予定
「黒龍事件」 殺人姫:枷取菜緒は幸せに たい sterben @sterben_dead
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