第3話 それにしても・・・

お前の上司のこいつ。

むかつく。


「●●君、リクエストは?」

しつこく勧めてくる。


本当は自分が歌い続けていたいだけのくせに。

寛容な自分をアピールしている。

一緒に同席している女の子達も顔を引きつらせてるの気づけよなぁ・・・。


そう。

肩をすくめてオレンジカクテルを口に含んでいる彼女。

長い睫毛の影に潤んだ瞳から光を漏らしている。


(か、可愛い・・・)

お前の心の呟きが聞こえた。


俺の御主人様の。

ドストライクらしい。


だから。

苦手な上司の誘いにも乗ったんだ。


それにしても。

ヘタレ過ぎるだろうがぁ・・・。


入社も同期で。

もう、三年も片思いだ。


いい加減、告白しろよっ!

・・・って、何度叫んだことだろうか。


俺は。

背後霊、失格だよ。


落ち込む。

今日この頃の俺だったのだ。

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