第3話 婚約解消
「すっかり、平民の奴隷ですわね」
レオ殿下たちが立ち去ると、私たち四人は諦めの顔で愚痴を漏らしました。
「本当に」
「早く婚約解消したいです。平民の奴隷なんかと結婚したくありませんもの」
平民であるメロディスさんの言いなりになっているレオ殿下たちは、どう見ても平民にへりくだり、平民のご機嫌取りをしている奴隷です。
私たちは、最初のころは婚約者に苦言を呈していましたが。
誕生日を無視されたり、予定をキャンセルされたり、メロディスさんを虐めたと言いがかりをつけられたり……。
婚約者に避けられ、ほとんど敵視される状態が続き、疲れてしまいました。
私たちは皆、婚約解消を望むようになりました。
「ようやく父が、レオ殿下との婚約解消を納得してくれそうですの」
私は皆さんに報告をしました。
「レオ殿下たちが学園で『平民の奴隷』になっていることが、ようやく貴族たちにも広まって、問題視され始めたようです。父もレオ殿下に見切りをつけてくれました」
そう、レオ殿下たちの醜態は貴族たちの間に広まっているのです。
この魔法学園の生徒はほとんどが貴族の子女ですから、親たちに報告している者もいるのです。
レオ殿下たちは婚約者である私たちだけにではなく、他の生徒たちにも言いがかりをつけて絡んでいましたので、それなりの数の被害者がいるのです。
メロディスさんの言いなりになっているレオ殿下に忠告をした生徒や、メロディスさんを無視した男子生徒なども、過去に絡まれていました。
メロディスさんを虐めたとか、メロディスさんの悪口を言ったとかいう理由で。
レオ殿下の嘆かわしい状況を、親に報告した者は少なくないと思います。
「僥倖ですわね」
「シャローナ様の婚約解消がなれば、私も父を説得しやすくなります」
エレノア様たちは明るいお顔をなさいました。
◆
ほどなくして私とレオ殿下は婚約解消に至りました。
メロディスさんとレオ殿下の親密さについては、国王陛下は「若気の至り」だとか「学生時代の気の迷い」だとかおっしゃったそうですが。
誕生日に贈り物すらなかったり、招待をしても断られたり、返事すらなかったり、当日キャンセルされたりという、不義理の実績をつきつけることにより、国王陛下はようやく婚約解消を承諾しました。
レオ殿下が、私をとても嫌い、私と婚約破棄したがっていたことも、婚約解消の後押しになったそうです。
私が望む婚約解消の後押しをしてくださったレオ殿下に感謝ですね。
レオ殿下は、最後の最後に、私を助けてくださいましたわ。
皮肉なものです。
私とレオ殿下が婚約解消をしたら、エレノア様、アルバータ様、ルビー様の婚約も立て続けに解消となったようです。
王家がレオ殿下の不義理を認めたことで、レオ殿下と一緒にメロディスさんに侍っていた三人の不義理も認められたそうです。
私たち四人は、お祝いのお茶会を開き、お互いの婚約解消を喜び合いました。
そして、それからしばらく後。
意外な事が起こりました。
レオ殿下たちを侍らせていたメロディスさんは、魔法学園から連れ去られてしまったのです。
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