第8話 いじめへの反撃(前編)
2012年11月7日 小雨
放課時間になったのに、青田寿子はまだ現れない。
門の前でもう五分待った。
「ちょっと待て、南条先生は今日教員研修に行くって言ってたよな?あの三人組、まさか今日仕掛けようとしてるんじゃないだろうか?」
僕はすぐに事の異変に気づいた。
「学校に戻ろう!早く!」僕が先頭に立って疾走し始め、往来の多い校内をかき分けていく。
日和と智也もいじめっ子三人組の企てに気づき、すぐ後ろから追いかけてくる。
「ちょっと待ってくれ…おい…」
九条良は家からの迎えがまだ来ていない上に、体型がぽっちゃりしているせいで、僕たちについてくるのがひどく苦労している。
「良、俺たちが先に行くから、後からでもいいから早く来い」
佐藤智はめがねを押し上げ、南条先生が研修に行っている隙をつけていじめようとするなんて、まったく予想外だった様子だ。
「バカな!」
僕は極限まで怒りを覚えた。あの三人は、ただ自分たちのくだらない権威をかけて、無実の青田に手を出そうとしているのだ。
もう我慢できない。全身が炎に包まれたように、血が騒ぐ。
「冷静にしろ!三人とも戦って勝てるか分からない。俺が先に先生を呼んでくる!」
佐藤智は教員室の方向に向かって走り出した。
「海鳴くん、だからね、戦うんだって言ってたじゃん」
日和は竹刀を握り締め、腕試ししたげな様子だ。
僕は一言も返さず、ただ怒りを胸に秘めて三階へと疾走する。
「待ってくれ…ちょっと待って…」九条はやっと校舎の外までたどり着いた。
九条良は本当にダイエットしなきゃいけないと思った。僕たち二人からは、もうずっと二三十メートルも離れてしまっている。
……
六分前。
「おやおや、これはおとなしい乙女、青田寿子ちゃんかい?」
三人組が寿子を隅に追い詰めた。周りの生徒たちは誰も三人組に構わないように、見て見ぬ振りをしている。
「あなたたち…」寿子は不安そうな表情だ。
「安心しろ、体に手を出すようなバカなことはするまい。ただ、君にお水をおごるだけだ」
宮本健也は殴り込みをするような愚か者じゃない。
三人はそれぞれミネラルウォーターのペットボトルを手に取った。
「ただし、この水は口で飲むんじゃなくて、頭で飲むんだ」
そう、三人は青田寿子の頭の上から、ゆっくりと水をかけようとしているのだ。
「どうしてかな、悪い予感がするんだ」佐々木は教室の窓の外を一瞥した。たぶんただの勘違いだろう。
「なぜこんなことをするの?私はあなたたち三人に何もしたことがないのに」
寿子は隅に体を丸め、小声で泣き出した。
「何かした?いやいや、君は確かに何もしてない。俺たちは友達になれるはずだ」
山田猛虎はにやりと笑った。
「それどころか、君にゲームに誘おうと思ってるんだ。この水かけゲームを、俺たちの友情の証にしようじゃないか」
「これは友情じゃないわ!近づかないで!」寿子は極限まで怯えている。
山田猛虎はミネラルウォーターのキャップを開けた。
「誰か助けに来てくれるかしら…来てくれるといいな…」
寿子の心の底には、わずかな期待が芽生えていた。
窓の外では小雨がしとしとと降り続け、湿った冷たい空気が窓から流れ込み、三人の肌に触れると同時に、寿子の心の中まで冷やしていく。
「どうして…私は何も悪いことをしてないのに…」
寿子は様々なことを考えたが、現実はそんなに甘くない。
「水が飲みたかったら、自分の頭で飲んでやがれ!」
怒りにかられた僕のスピードは、剣道一家の日和さえも凌駕した。
僕は目を見開き、全身の力を拳に込めた。
怒りに燃える左拳が空気を切り裂き、山田猛虎の腹部に直撃した。
「ふっ!」
山田猛虎はいじめを実行する直前の快感に浸っていたので、僕の動きにまったく反応する隙がなく、強烈な一撃を受けた。
「あいつら二人は俺が相手にする」日和は竹刀を構え、残り二人に対峙した。
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