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カフェのキッチンでドリンクを準備しながら、彼女はふと考えた。
家で飼っている愛犬の様子を毎日観察している。そして、カフェで働く犬たちの行動も目にしている。自由に過ごす愛犬と、人間との交流を通して満たされるカフェの犬たち。比べることができるからこそ、どちらの幸せも考えずにはいられない。
そのとき、スタッフのひとりが軽やかに声をかけてきた。
「店長の愛犬、連れてこないんですか?」
彼女は少し笑いながら答える。
「うちの子は、あんまり人と関わるのが……好きか?嫌いか?どうか分からないから……もし本人の同意が取れるなら聞いてみたい(笑)」
その場にいた他のスタッフたちも、それぞれ考えを口にする。
「お客さんとの関わり合いの方が犬も猫も喜ぶんじゃない?」
「確かにそうかもしれないけど、一人でいるのが好きな子もいるんじゃないかな……犬や猫も、気ままに過ごす時間も必要かも?」
彼女はその会話を聞きながら、微かに笑みを浮かべる。議論は簡単には答えが出ない。犬も猫も、人それぞれ、いや、生き物それぞれに異なる性格と欲求があるのだ。
そのとき、カフェに来ていたお客さんが静かに話し始める。
「私は犬も猫も大好きです。家では飼えないけれど、ここに来れば会える。こうして触れ合えるだけで、すごく幸せをもらっている」
主人公はその言葉に、胸の奥が温かくなるのを感じた。
犬や猫の幸せは、必ずしも人間の期待に応えることだけではない。自由に過ごす時間も、誰かと交流する時間も、どちらも大切だ。カフェも、家も、どちらも尊い場所なのだ。
主人公はふっと息をつき、コーヒーをカウンターに置いた。
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