Sweat My Die
麝香連理
プロローグ
ガタゴトと、悪路を突き進む馬車。
その荷台にはゴミのように扱われ、ボロボロになった子供達。その様を、他人事のように呆然と見つめている自分がいた。
元々身体が弱かった僕は、体力があまり無かった。それでも家族のために何かしようと行動する度、意識が朦朧として全身が深い暗闇に堕ちていくような感覚がした。
そして気付けば自分の布団の上。
そんな僕に愛想が尽きたのか、目を覚ました時にはこの馬車に乗っていた。
呆然と見つめているのは、家族に見捨てられた諦観か、現実を受け止められないからか。
とりあえず、お腹空いたな………………
そういえば、昔家に来た人が………
「胸に手を当てて、心の中で自分を意識するんだ。そうすると、自分にだけ見える習得したスキルを閲覧できる奇跡が起こせるんだよ。」
って、言ってたな。
あの時は全く出来なかったけど、暇だからちょっとやってみようかな。
右手を心臓に当て、二重になった自分がピッタリ重なるようなイメージをした。
すると、その奇跡が起きた。
ゆっくりと目を開けると、知らない壁が空中に浮いていた。それは各々四つの区画に分けられており、名称があった。
あるのは………マジックとスキル。魔法とスキルが別区分なんだな。それとゴッドスキルと、カルマスキル。
何がなんだか分からなかったけど、頭の中で疑問に思うと、その詳細が浮かび上がった。
スキル:日用や戦闘、幅広く使えるスキル。修練度に応じてそれぞれのレベルが上がる。
マジック:魔法スキル。修練度に応じてそれぞれのレベルが上がる。
すごい!こんな風にみれるんだ!
どっちも空欄だから僕は何にも持ってないってことだよね!
じゃあ次はこの下の二つ!
両親に口調を改め、声を出しすぎないよう厳命されてたけど、これはちょっと興奮しちゃった。
気を付けないと。
ゴッドスキル:神の因子を取り込んだ者が保有する唯一無二のスキル
カルマスキル:神の因子取り込んだ者が受ける神からの試練のスキル
神様の因子ってなんだろう?一応主神はランドール様だけど。他にもいるから分かんないや。司祭様とかならその因子ってのも取り込みやすいのかなぁ。
?壁のところに紙が張ってあって何か書いてある?
ゴッドスキル:『有備無患』
自身に関わる全ての能力が極大アップ
カルマスキル:『流汗』
汗をかくとゴッドスキルの効果が無効かつ、自身に関わる全ての能力が極大ダウン
……………………………………え?
これって………つまり、僕がこのスキルを持ってるってことだよね……………?
あれ?今僕は汗をかいてないから、使える?
『有備無患』
わ、すごい!?身体の痛みも空腹も感じない!?
今ならなんでも出来る気がする!この際だし、行き当たりばったりでもなんとかなる!……筈!
敵(大人)は合計六人。
うん。今の僕なら行ける気がする。
僕は立ち上がって敵Aの近くまで向かう。
「あ?なんだガキ?」
「よい、しょっ!」
僕が鉄格子の内の一本を軽く殴る。
あまりの衝撃でその一本は折れることなくだるま落としのように横にスライドしていき、敵Aの股間に激突しながら両方とも暗い森の中に消えていった。
え、えぇ…………………
いやでも、奴隷商人に同情なんていらないか。
うん、そうだよね!
そのまま残りのB~Fも魂が無くなるくらいお掃除して、他の子達が逃げられるように鉄格子も破壊した。
「それじゃ、先に行くよ。」
逸る気持ちを抑えつつ、周囲を警戒しながら走る。
走ってみてるけど木、木、木、木、木、木、木。
変わり映えしない。
「あ、身体能力が上がってるならジャンプしてっ!」
わ!出来た出来た!
うぅーん、周囲に大きい街はなさそう。あるとしても村くらい?ちょっとそこに寄ってみようかな。
僕は砂埃を巻き起こしながらも綺麗に着地をして、その場であとどれくらい村までかかるか考えようとしたその時、全身が何十人もの大人にのしかかられているような感覚に陥り、耐えきれず俯せに倒れた。
僕が状況を把握できていないでいると、額からツーっと水の雫が垂れてきた。
汗っ!?ま、まさかこれだけで…………
あぁ、だから家にいた時もすぐに倒れてたんだ。あの時は自分が情けないだけだと思ってたけど、こういうことだったんだ。
極大ダウン………瞬きするのがやっとだ。でも、前は意識すら無くなってたし、僕も少しは成長したってことかなぁ?
………せめて、木の上とかが良かったなぁ。ここじゃぁ、魔物にでも喰べられて死んじゃう…………
「おぉーい!」
……………幻聴ってこんなにハッキリ聞こえるのかな………………あぁ、汗が増えてきた……………
意識………が…………………
「おい!あそこ!子どもが倒れてるぞ!」
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