小林奏音は堕としたい! 〜毎日スキスキアピールしてるのに気づくどころか、惚れる気配が一切くて既に詰んでる話〜
最悪な贈り物@萌えを求めて勉強中
第0話 優しい記憶
2015年 7月26日
手を伸ばす。
おおきな手が僕の頭をなでる。
「霧矢。」
「なぁに?お母さん。」
病室にきれいな光がたくさんはいってくる。
ぼくはおかあさんをみあげた。
「あの子のこと、ちゃんと守ってあげて。こんな無責任なことは言いたくないけど…きっと、それは意味がある事だから。お願いね。」
おかあさんは僕のおでこにキスをして、ベットに寄りかかる。
ぼくよりも細い手は、ぼくの頭から離れて、ベットの上に置かれた。
「きっと貴方は強い子だから…ちゃんと自分とあの子を守ってあげられる。私の代わりに、あの子のこと、見守ってあげて。私は信じてるから。」
「うん!わかった!」
ぼくはおおきな声でお返事する。
ベットの上でおかあさんが笑う。
「よろしくね……それじゃあ私はそろそろ寝るね。おやすみなさい…いい子で居るのよ…幸せになってね…………」
「うん!おやすみなさい!」
ぼくは元気よくいうとおかあさんは目から少しばかりの涙を出してニコっと笑った。
天井を見上げるようにしてお母さんは眠ると、おひさまの光がつよく差し込む。
そして、隣にあったせんを描くきかいからピーという音がなりひびく。
せんのとなりには「0」という数字が刻まれていて、ぼくはいつもうるさいのが、さらにうるさくなったな、と思って病室をでる。
「おやすみなさい。お母さん。」
そして、お母さんは二度と起きなかった。
蝉の声がうるさい日だった。
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