第2話 偽勇者の出陣
エスタニア王国では儀式が行われていた。
多くの人々が王城の儀式の間に集まりザワザワとざわめきを広げていた。
その中心にエスタニア王国のカール王が一人の青年に剣を授けていた。
「勇者アーサーよ。必ずイシュールの宝を手に入れ我が国に繁栄をもたらせ」
……よいな……
アーサー・フェニックス・ブラウンは頭を下げて剣を恭しく両手で受け取ると立ち上がった。
「必ず手に入れて戻ります」
そう言うと胸を張って踵を返すと人々の大歓声を受けながら王城の儀式の間を後にした。
同行者は、エスタニア王国でも右に出るモノはいないと言われている剛剣のボイド・アレク・ウェルズに魔導士のルルド・リアナ・チャールストン。そして、聖者のシャール・シン・ウィルソンの3人であった。
彼らが王に言われているのはアーサー・フェニックス・ブラウンが死んだ時点で退避して戻ってくるようにという事であった。
そして、何階層まで行ったかなどのダンジョン情報を持って帰るようにという事であった。
「本物の勇者を死なせるわけにはいかん。最下層に辿り着いてオーパーツが何か分かり伝説のような世界を制圧する力あるものならばアーサー・フェニックス・ブラウンを殺し持って戻るように」
これまで12人の偽勇者が死んでいるのだ。
1人増えたところで構わないという考え方だったのである。
アーサーは偽の宝剣を腰に掛けてダンジョン攻略後に自分を殺す仲間たちと共にエスタニア王国のコロロの港から古代王国イシュールのあった島を目指した。
空は青く広がり波も穏やかで彼らの行く手を祝福しているような快晴であった。
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