「ガルムには加護の価値が理解できない」
何かがおかしかった。
皇帝に認められ、役立たずを捨て、順風満帆なスタートを切ったはずだった。
「なんだってんだよ!」
俺の目の前には、ベロスとトロスの双子がうなりながら倒れている。
俺たちは、皇帝に認められた”最高戦力”の一角、これまでこんなことはなかった。
だが、今は、たかが"毒"で、時間を無駄にしている。
今まで毒なんざ問題にしたことはなかった。
何が起きている……
通りがかった冒険者から毒消しを譲ってもらい、ベロスとトロスに使ったが、まだすぐには動けなかった。
「準備もしてねえのかよ」
と悪態をつかれた時は殺してやろうと思ったが、快く譲ってくれたので見逃してやった。
――それからも散々だった。
ベロスもトロスも擦り傷程度で悲鳴を上げるし、毒はもちろん、これまでものともしなかった麻痺や睡眠なんかにもかかりやがる。
マジで使えねえ。
挙句の果てはコボルトごときの咆哮で恐慌に陥ってたのにはあきれ果てた。
だが、それだけじゃねえ。
これまで楽に倒せてた魔物に時間を食うようになった。
一撃で倒せてたはずのゴブリンですら少し手間取っている。
これにはさすがの俺もイライラさせられる。
まさか、アルト――あの加護の影響か?
……違うな。あいつの加護は攻撃の無効化だけだったはずだ。
それに、ベロスやトロスはともかく、俺には毒も麻痺も効いてない。
じゃあ、腕が鈍ったか?
いや、そんなはずはねえ、ベロスやトロスはともかく、俺は間違いなく”最高戦力”のひとりだ。
あの英雄騎士イリスにも引けはとらえねえはず。
「うがあああ!!」
コボルドの咆哮を突破して、奴の首を落とす。
だがそれにも以前のような滑らかさと身体の軽さは感じられねえ。
結局、今回の依頼は失敗だ。
本当に、何が起きてやがる……
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