「いつもより体が軽くて依頼を秒でこなしたら褒められた」

 翌朝、僕は一人でギルドへ来ていた。

 所持金に問題はなかったが、稼がなければすぐになくなる。

 依頼掲示板を眺めていると、なんとなく視線を感じて、居心地の悪さだけが僕を支配していく。


 手早く簡単な依頼の手続きをして、ギルドから出た。


「リナさん、じっとしててくださいね?」


 ギルドから出たところで、教会の僧侶と思しき女の子が、別の女の子に治療を施している。

 治療を受けているのは、スカウト装備を固めた、同じ年くらいの女の子だった。


「うーん、マリエの治療はいつもいい匂いがするにゃあ」


「な、何言ってるんですか。 ほら、じっとしててください」


 神聖な淡い光がマリエの手に宿り、それをリナの腕に近づけると、ぱっくりと割れていた傷口がみるみるうちに塞がっていく。

 軽傷ではあるが、その回復速度を見ると、マリエはかなりの使い手のようだった。


(関係ないな……)


 僕は、踵を返して、依頼者の元へと向かった。


 依頼は難しいものではない。

 畑を荒らす獣の退治。


 依頼者が獣の巣と思われる場所に案内してくれたから、すぐに取り掛かる事が出来た。


 けど――


 何故かいつもより体が軽い。

 確かにガルム達には及ばないけれど、獣たちの気配や動き、それが全て手に取るようにわかって、しかも思い通り以上に体が動いた。

 あっという間に獣退治は終わってしまって、自分でも驚いてしまう。

 何が起きているんだ……


「な!? あんた、もう終わっただか!?」


 様子を見に来た依頼者のおじさんが、既に退治し終わっている事に驚いていた。


「あんた、すげえな。普通もっと時間かかるもんだべ」


 その後、おじさんは獣の巣に火を放ちながら、素直に僕に感心を示してくれていた。


 なんだか、少しだけくすぐったかった。

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