第4話

エピソード4:同床異夢


等海は、目的地に向かう途中、深夜の公園の駐車場に車を停めた。

誰もいない空間、、、。

等海は運転席からリアシートに並んで座り、制服の上着をゆっくりと脱ごうとしたが、桂が慌ててそれを遮るように止めた。

「ちょ、ちょ、ちょっと待って凪海さん!誤解しないで下さい!僕はそんな事を求めているんじゃないんです!少しお話できたら、、、そして可能なら純粋にお友達になれたら、、、と思っただけなんです!」

「なによ!今更こんな私に何を求めているの?」少し逆ギレぎみに等海は言い放った。

「あの~、それでしたらサインとか一緒に写真とか、もしよければメッセージアプリの連絡先交換とか、お願いできないですか?」と桂は少し照れくさそうに言った。

「はぁ?まあ、別に良いですけど、、、。」拍子抜けした様子の等海。

「それからコレ、もしよかったら、、、。」

手渡されたドラッグストアのレジ袋の中には、栄養ドリンクと箱入りのマスクが入っていた。

「あっ、ありがとうございます。」戸惑いながらも等海が受ける。

「余計なお節介かもですけど、やっぱり、白色のマスクより紫色のマスクの方が似合うと思いますよ!」と桂。

それを聞いて等海は苦笑いをした。


その後、桂は、自分のスマホで等海との写真を何枚か撮り、メッセージアプリの連絡先交換すると「ありがとう!」とだけ告げ喜び勇んで降車して行った。

「まだ私の推しがいるんだ、、、こんな私の事を、、、ディスられるより、、、つらい。」等海はポツンと呟いた。

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