自分の子供との出会いは未知に溢れていた

ゆる弥

第1話 妊娠

 最近、妻の体調が悪い。熱があるわけはない。風邪をひいているわけでもないみたいなのに、吐き気がするというのだ。


 俺は、最初は精神的に参っているのかなと思ったのだ。ゆっくり休むように勧めたが、そんなに仕事を休むこともできないという。


 それはそうかと鵜呑みにして、どうしたらいいのかと不安でいっぱいだった。そんな時、かえって来た妻が言ったのだ。


「なんかさぁ、職場の人に産婦人科行った方がいいんじゃないのって言われたぁ」


 その言葉に衝撃を覚えた。たしかに、思い当たる節はあった。でも、まったく考えていなかった。妻が妊娠しているかもしれないということを。


「じゃあ、次の休みにでも行ってみるか?」


「うん。産婦人科は恥ずかしいだろうから、家で待ってていいよ」


 自宅から産婦人科は歩いて結構ある。これはタクシーだな。と考えながら週末を迎えたのだった。


 その週末までソワソワと落ち着きのなかった俺。

 もしかして、父親になるのか?

 俺が?


 タクシーに乗って妻と一緒に産婦人科へ向かった。ただ、中には入らずに、外で待つことにしたのだ。もしかしたら、男の人がいたら嫌だと思う女性もいるかもしれないからだ。


 まだかまだかとスマホを見ながら連絡を待つ。

 産婦人科の周りのウロウロとしながら、飲み物を飲んだりして待つ。

 何時間にも感じたその長い時間は、実際は一時間ほどだった。


『やっぱり妊娠してた。三か月目だって』


「うっわ! マジか!」


 その妻に、よかった。本当にありがとうと送り。その後、親へ自分が父親になることを報告したのであった。

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