明日も生きてみてもいいかな。

あおのこきひ

第1話 新しい靴下を買いました。


 とても朝が寒い。

 私の住んでいる場所は、市街地に行くよりも山の方が近いところにある。12月に入ると、市から配られる広報誌に、水道管凍結注意のお知らせが入ってくる。一晩中チョロチョロと水を出しておけとまでは言われないけれど、蛇口や水道管がむき出しになっている所に、タオルや毛布を巻いておいてねと言われる。サボると凍結からの破裂で修理費が飛んでいくので、毎年欠かさず巻く作業をしている。

 そんな水さえも凍らすような気温の中、毎朝私は、夫や子供が起きるよりも先にリビングに行って、炬燵のスイッチを入れる。いつも朝が始まると必ずすることであり、寒さにめっぽう弱い私が温まるためにすること。

 そして冷えた足を温めながら思う。

「靴下買うの忘れた。」

 かれこれ2年、自分の靴下を買えていないなと気付く。普通の靴下ではなく、夕方のニュース番組の合間で紹介されていた、名前はよく覚えていないけれど暖かそうな防寒グッズ。

 今日は休みだし、こうして思い出したのだから、今日買ったほうがいい。そんな小さな決心をして、子供を起こした。

 子供は起きて早々、激しい咳をしたあとにトイレへ駆け込んでいった。トイレから聞こえる声を聞きながら、ああ…また風邪をひいていると確信した。しかもこんな症状だから、学校は休ませないといけない。

 小さな決心をしたけれど、それは今日できないだろうなぁと諦めた。

「また穴あいちゃった。」

 学校へ休みの連絡を入れていると、子供から靴下を渡された。確かに大きな穴が開いていた。これで子供の無事な靴下はないはず。なら靴下を買いに行かないと。

 幸い、私の子供は1時間ほどなら留守番を任せられる。スポドリもゼリーも買いに行きたい。よし、靴下は今日買おう。

 

 

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