あさひと時宗
桜井もみじ☆
01 時宗
オレは
ぶっちゃけた話、やりたくてやっているって訳じゃない。オレには刀の才能がなくて、あんまり自信がないからだ。
と、いうのも、オレにはいとこがいる。
いとこのあさひはとても才能のある剣の使い手。オレよりずっとやる気がないのに、一人だけバカみたいに強い。鍛錬もオレの半分くらいしかやってない。
でも仕方がない。
才能の問題だ。どうする事も出来ない。
あさひは八歳で、すでに村を荒らす龍のような
そんな天才に、敵う筈がない。
如月家は代々、妖退治を行ってきた有名な家だ。この如月家では代々、一族の中で最も強い者に妖刀を継がせる事になっている。妖しか切る事の出来ない刀『奏』《かなで》を、オレの両親はオレに継いでほしくてたまらないらしい。
父上はあさひのお父上に負けて継げなかったから、どうしてもそれをオレに継がせたくて必死なんだ。
でも無茶だ。
あさひは如月家始まって以来の天才だなんて言われちゃってるようなどうしようもない奴なんだから。
妖刀『奏』を継ぐのはあさひで間違いない。
確かにオレもそこそこ才能のある方だと言われていた。あさひが凄すぎるだけで、父上や他の一族の者達よりは強い方だと言われて育った。
当然鍛錬を怠った事はないし、十歳の時にはオレも一人で町で血を吸って回る化け物を切り刻んで葬った。十分凄い事だと言われていたけど、あさひはその時すでに一人で妖の大軍を相手にしていた。
そんな化け物に近い天才の前では、オレの才能なんて霞んで見える。
父上も母上も、毎日オレに言うんだ。
「あさひを越えなさい。越えて奏を受け継ぎなさい」
出来ると思っているのか、甚だ疑問でしかない。
努力で補えるのなら努力しよう。
でもどう考えても越えられないこの壁を、オレはどうすればいいのだろう。
悩みは尽きない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます