記憶をなくした英雄はもう一度世界を選ぶ___世界を選んだ英雄へ
クソレビユ
第1話 ハッピーエンダー
魔王討伐。
それは、今世を脅かす魔王に対する、
この世界全ての願いだった。
その願いが束ねられ、一つの力となり、
今、ここに集まっている。
「これで終わりだ、魔王」
冷徹な一突きが、魔王の身体を貫いた。
「仲間のためにも…私の野望のためにも……」
「こんなところで、死ぬわけにはいかないんだあああああああ!」
その叫びは、敵味方を問わず、
誰もが息を飲むほどの執念だった。
魔王は最後の力を振り絞り、猛獣のように
こちらへ突進してくる。
「や、やめ____」
鈍い音が響いた。
さっきまでそこにいた僧侶の姿は、
もうなかった。
全員が限界だった。
前衛の戦士も騎士も、もはや
立ち上がる力すら残っていない。
後方支援の僕は、一歩だけ下がり、今出せる
最大の魔力を溜めた。
だが、その力が完成する頃には、
前に立つ仲間は誰一人動けなくなっていた。
それでも____魔王は倒した。
ただし、生き残ったのは僕一人だ。
「本当にありがとうございました……」
「これで世界の平和は保たれました……!」
「英雄様、ありがとうございます…」
祝福の言葉が、次々と向けられる。
だが、胸の奥に立てた
冷たい違和感が広がっていた。
(どうして、誰も、最後まで戦ってくれたあいつらのことには、触れない?)
僕は、こんなこ人間たちのために魔王を倒し、仲間を全て失ったのだろうか。
その答えはいくら考えても見つからない。
気分が悪い。全部戻ればいいのに。
今まで一緒にたたかってくれた
杖を見てずっと考えていた。
胸の奥で何かが限界まで
張り詰めるのを感じた、その時だった。
突然杖が光出した。今まで見たことのない、
制御が効かない光だった、が杖に向かって
この思いをより一層強めた。
眩い光にさらされた。
「うわああああああ」
気づいた時にはさっきと違う場所にいた。
この景色は…。そこで見た景色は
見覚えのあるはずの街並みだった。
手に握る杖の先がわずかに震えて光っている。
これは一体…何を…?
「あーそこの君ー!」
その言葉を、僕は知っている。
振り向くと、そこには剣士が立っていた。
生きているはずのない剣士が。
「こんなところで何してるんだ?」
一周目と全く同じ言葉だった。
動揺で喉が動かない。
ここは……過去だ。僕は、本当に…
そういえば、杖の光が消えた瞬間背後で
何かが動いた気がした。
しかし振り返る勇気は出ず、僕は剣士の方を
向くしかなかった。
心の奥底で、違和感がざわついた___
世界は本当に元通りになったのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます