写真の話

「ほほぉ、これは面白い……」

「おや、春歩さんや、何を見てるんだい?」

「なんか縁側のおじいちゃんのような話し方ね」

「言われてみると恥ずかしい気持ちになった……」

「まぁいいわ。昔の写真を見ていたのよ」

「お、そうなのか、どのくらい昔の?」

「平安後期くらいかな」

「めちゃくちゃ昔ですね……」

「嘘よ、私たちが小学生の時の写真よ」

「おお、これは運動会の時の写真か、姉は足が速かったもんなぁ」

「まぁね、エリマキトカゲもびっくりの速さよ」

「速いのか遅いのかよく分かりませんね……」

「夏夜はそんなに足は速くなかったね」

「うっ、そのとおりだけど……野球は好きでやってたんだけどなぁ」

「座ってる時間が長いと足が速くならないのかしら」

「キャッチャー前提なのやめてもらえますか?」

「それはいいとして、これは海に遊びに行った時の写真ね」

「おお、懐かしい。スイカ割りとかしたような」

「私が真っ二つに割ったんだけどね」

「いや、あさっての方向に行ってたような……」

「遠い記憶だから、改ざんされているのよ」

「そんなことはないと思いますけどね……」

「これは花火をやった時の写真ね」

「このあたりは夏休みだな、楽しかったなぁ」

「そうね、ロケット花火を両手に持ってぶっ放したのはいい思い出よ」

「なかなかワイルドでしたね……」

「まぁ、この歳になると自分の写真を撮ることが少なくなったかな」

「たしかに、なんか恥ずかしいんだよな」

「恥じらいは捨てよ、己の愛国心はどうした」

「急にキャラ変わったな」

「でも、恥ずかしい気持ちは分かる気がする」

「そうだよな、写真撮るのが流行った時期もあったけど、もう無理かも」

「夏夜は好きな女の子の写真を机に隠し持っていたね」

「なんでそれを知っているんだ……」

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