小屋へ行ってみよう

 ザーザーザー。


 最初に耳に入ってきた音は波の音だった。ゆっくりと目を開けると湿った砂浜に打ち上げられていて、目の前には青い海。後ろには背丈の2倍はある木々が並んだ森が広がっていた。おお、本当に島だよ。立ち上がり体に付いた砂を払っていると、現実と同じ少し湿った砂の感触がした。軽く体の動きを確認する為に、屈伸や腕の筋を伸ばしてみたが現実と同じように体が動いた。さすが最新VR、タイムラグも問題なさそう。


 さて所持品やステータスを確認してみよう。唯一の所持品であるカバンの中を見てみるが何も入ってなかった。よし、スキルを使ってみようかな。僕はカバンに⦅鑑定⦆をかけてみる。⦅鑑定⦆はプレイヤーが最初から使えるスキルでアイテムの名前などを確認できる。但しアイテムによっては鑑定結果が記されないときがある。これを解決するにはスキルの⦅鑑定⦆を取らなければならない。


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カバン

ランク1

品質:標準品質

解説:物を入れる基本的なカバン。基本的なカバンなのでそこまで多くは入らない

効果:なし

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 アイテムにはそれぞれ幾つかのステータスがある。


ランク・・・1〜10まであり、数値が高いほど希少価値が高い。

品質・・・失敗品、低品質、標準品質、高品質、最高品質、伝説級、幻想級の7段階ある

解説・・・アイテムの説明文が書かれている

効果・・・アイテムの能力、効果などが説明されている


次にメニュー画面からステータスを確認してみた。


■名前  ケン

■ステータス

 HP:100/100

 MP:50/50

 水分:50/100%

 満腹度:50/100%

 アタック:10

 ガード :10

 マジック:10

 スピード:10

 テクニック:10

 レジスト:10

 ラック:10

■スキル

■装備

 右手    :

 左手    :

 頭     :

 体     :

 脚     :

 足     :

 アクセサリー:カバン


■称号


それぞれのステータスを説明すると


ステータス

HP    :0になるとゲームオーバー。

MP    :魔法を使うときに消費する。

水分   :0になると状態異常【脱水】になり徐々に動きが悪くなりHPが減っていく。

満腹度  :0になると状態異常【空腹】になり動きが悪くなりHPが減っていく。

アタック :相手に与えるダメージに影響。また物を持ち運ぶ時や道具装備の時に関係性あり。

マジック :相手に与える魔法ダメージに影響

ガード  :敵から受けるダメージに影響

スピード :移動速度に影響

テクニック:投擲、鍛冶、調合などアイテム作成などに影響

レジスト :病気などのかかり易さに影響

ラック  :あらゆることに影響する


 WMMPにはレベルという概念がなく各ステータスはそれぞれに対応した動作を行うことにより上昇する仕様らしい。例えば攻撃する、重い物を持つなどをするとHP、アタックが、攻撃を受けるとガードが上がるみたいに。つまりプレイヤーの冒険の仕方でステータスに特徴が生まれ自分らしいキャラに成長するということ。僕はどんな感じになるんだろう?


 次に装備欄についてだが現在はアクセサリーであるカバンだけになっている。だが一言言っておきたい。決して裸ではない。WMMPでは装備は耐久力というものが設定されており、この耐久力が0になると一時的に消滅する。この時裸にならないように、キャラクターメイキングの時に上下いくつかのパターンから服を選ぶことができる。僕の場合は上は長袖のTシャツ、下は長ズボンにした。この服は何の能力もない見た目装備の様なものだ。消滅した装備はバッグまたは⦅マジックバッグ⦆などのストレージに〖破損された○○〗として収納され、修復することで再び使えるようになる。


 最後にスキル。現在セットしているスロットは無い為、早速⦅マジックバッグ⦆をセットしてみる。このスキルはカバンとは違い重さ、容量に制限は無くて、最大10種類のアイテムを10個まで収納できる。恐らくスキルレベルが上がればいろいろ増えるんじゃないかな。


 事前の確認も終わったからとりあえず周りを見てみよう。サバイバルでも基本は周囲の確認だから。詳しく周りを見てみると砂浜と森の境界線に人の手で作られた木の看板を見つけた。めっちゃ不自然! その看板に近づいて読んでみると、


『私のように流れ着いた人よ、生きたいと思うのならばこの先の看板を頼りに森へ入りなさい。その終点に助けとなるものを置いておきました』


 お、これは案内板かな。その看板に従い森に入って進んでいくと突然森の木が途切れ開けた場所に着く。中央にはところどころ穴が空いている小屋があった。中に入ってみると本が置かれた机と大きな箱、ベッドが置かれており、どうにか人一人が生活できる設備が備わっていた。箱の中身も気になったが先に机の本を手に取り読んでみると、


『無事たどり着けたみたいですね。私の名はアイリ。貴方の前にこの島に流れ着いた者です。私が手に入れた幾つかの情報を貴方に伝えたいと思います』


『最初にこの島は特殊な空間にある孤島で、幾つかの謎が隠れています。その謎を解明していくうちに行ける場所が増え、少しずつ便利になっていくでしょう。隣の箱には私が生前作り残しておいた〖水玉〛と〖緑玉〗、〖火打石〗を入れておきました。最後にこの本ですが、この島の各所には魔法により私の記憶が残されており、自動的にいくつかの助言がこの本に残るように作りました。活用してください』


 どうやらこの島を巡りアイリというAIの記憶を巡るのが大筋のクエストになりそう。隣の箱を見てみるとアイテムをたくさん収納できる収納BOXになっていた。現状収納BOXの作り方がわからないからなるべくいらないアイテムは整理しよう。アイテムの整理はある程度きちんとしとかないと後々大変だから。


 箱には3つのアイテムがそれぞれ5個ずつ入っていた。1つずつ手に取ってみると、


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水玉

ランク7

品質:最高品質

解説:アイリが作った特製の魔法薬。これを飲むことにより水分を完全に回復できる。時空間魔法により時間が止められており腐敗・劣化はしない。

効果:水分値完全回復

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緑玉

ランク7

品質:最高品質

解説:アイリが作った特製の魔法薬。これを飲むことにより満腹度を完全に回復できる。時空間魔法により時間が止められており腐敗・劣化はしない。

効果:満腹度完全回復

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火打石

ランク4

品質:最高品質

解説:石英と鉄片が組み合わさった道具。この道具を上手く使えば火種を作ることが出来、火をつけることができる。しかしある程度の熟練度が必要。

効果:発火

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 早速水玉と緑玉を食べてみると水分と満腹度の値が50→100になった。水玉の方はソーダ味で、緑玉はメロン味だ。さて水分も満腹度も回復したからメインストーリーであるアイリの記憶を探してこの島を色々探検したいけど、まずは水分と食料を確保しなくちゃ。だって唯一の補給手段である水玉と緑玉が無くなっちゃったら『餓死』、『脱水』症状になって死んでしまうから。


 ちなみに他のゲームでは状態異常でHPが減っても0にならないなんて言う親切設定があるけど、スローグ製のゲームでは普通に0になってゲームオーバーになっちゃう。ゲームオーバーになると拠点に設定した場所(今はアイリの残してくれた小屋)で起き、半日の間ステータスが10分の1になるというデメリットが生じるらしい。

 さて、まずは安定的な水分補給手段を手に入れるために川か湖を探そう。海の水でもいいのではないかと思うプレイヤーがいるかもしれないけど、そこはWMMPの世界。最初に紹介したスローガンの他にいくつかのスローガンがあり、その一つに、


『この世界ではリアルの無人島生活と空想の魔法の世界を合わせました。様々なことに挑戦し、時には成功、時には失敗を繰り返してください。さすれば道は開けるでしょう』


 がある。このリアルの無人島生活という言葉から、現実では海水を飲むと塩分により大量の水分が抜け脱水症状に陥るかもしれないから、海水から水分は摂取しないほうがいいはず。

 水分の他に重要なのは食料。考えられる食料として果物や薬草、木の実、後は魔物の肉とかかな。だけど現実でも動物の肉の中でも危ない物があるからトライ&死(エラー)で試してみないと分からないかな。

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