「ビート」〜復讐のリズム〜

白黒

プロローグ

学校の屋上。

ヘッドホンの中で、音楽が鳴っている。

僕の大事な黒のヘッドホン。

宝物さ。


ふん♪

ふふん♫


この音があれば、世界はいらない。

汚い音も、声も、全部消える。

「だって、そうだろ?この世界は汚い、汚染されているんだよ」


君たちも分かるよね?


刻まれる。

一拍、一拍。

僕の中に、正確に。


足が勝手に動く。

タン♪タン♪

その美しい白髪が舞う。


「今日は、祝福の日だね」


青空が近い。

風が強い。

まるで、今日のために用意されたみたいだ。

気持ちが良いね。


「そう、ここは僕の世界だ」♪


耳ざわりな音は、いらない。

必要なのは、このメロディーだけ。


「……そろそろ、時間かな?」ダン♫


くすり、と笑う。


フェンスに手をかけ、下を見る。

その、エメラルドの目は、何かを見据える。

小さくて、静かで、遠いその先へ。


うん。

今の僕に、ちょうどいい。


「さぁ、行こうか」ダン♫ダン♫


僕は飛ぶよ♪

「僕の世界へさ」


ドス……ダン♫


「ビート」〜復讐のリズム〜


ふん♪ふふん♪ふん♪

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る