第8話-1 すべては神の手のひら
さて、2学期に入ったわけだがやることはほとんど変わらない。勉強して部活に行って友人と遊ぶ。しかし、2学期には学園を巻き込んだ行事がある。それが学園大会だ。学園大会はA~D組の4チームに分かれてポイントを競う行事で7日間行われる。1,2日目は学年別、3日目以降は混合と言った感じだ。1~7年生までが同じチームで戦うので上との交流も深まる
「えー、では種目決めをしていきます。まずはリレーですね」
リレー、というより足の速さというのは学生にとって一種のステータスだ。その序列は徐々に下がるもののそれでも依然として足の速さというのはステータスになる
「ミリバーブ、お前何やる?」
「魔法系」
「あ、因みにミリバーブさん。貴方は教師判断で魔法系や戦闘系の競技は混合戦だけです」
「わかりました」
「当然だな」
いや、まあうん。流石に……ね。まあ強そうな上級生と戦えるんだし、いいっか。……ドルティナたち以上の上級生? いや、もしかしたらいるかもしれない。人間の可能性を舐めるな。あと、上級生の力量を知って、その後のヴォルクーネ杯の結果で今の実力が大体わかるし
「1~3年の学年には関係ないがこの結果によってヴォルクーネ杯の選抜メンバーが最終決定になります。ですからちょっとピリピリしていると思います。しかし、上級生に理不尽なことをされたらいうようにしてください。対処するので」
俺は結局学年混合のマジックファイトに登録した。1~3年のクラスは1人ずつ、4~7年のクラスは最高3人選ばれ、最大60人。シード4枠。シードは前回出場した選手と教師が決めた有望な選手が選ばれる。3位までが優先出場権を国から得ることが出来る。もし、3位以内に出場できない選手がいると4位以下の選手に順番に振り分けられる
ボローネは学年対抗のマジックファイトに、クライスは剣術、スヴォーフとリシュリーノは棒倒し。リシュリーノ……お前やれんのか? お前運動苦手だろ。そう思い聞いてみたが
「安心してください。大丈夫です」
の一点張り。まあリシュリーノがそういうならなんか策はあるんだろ。あと、スヴォーフも一緒だし、なんもならんだろ。マリーは俺と同じ競技らしい。マリーのカッコいい姿を見たい気持ちと傷ついてほしくない気持ちに挟まれてやばい。もし、大怪我を負って、そいつと当たったら普通に殺意を抑えられないかもしれない。理不尽だとはわかっているが……仕方ない
今回の目標は優勝だな。こんなところで躓いてられるか。俺がこれまで会った敵と比べたら怖くないし、大丈夫だ。うん、そのはず。少なくとも脅威だと思われる先輩はいないはずだ。だが、油断してはいけない。鳴かず飛ばずだった人が急に覚醒してヴォルクーネ杯を優勝したことだってある。慢心せず、全力で捻りつぶす
「気を付ける先輩とか急に強くなった先輩知らない?」
「んー、急に強くなったとかの話は聞かないわ。気を付けるんなら去年も優勝して、ヴォルクーネ杯も3位だった主将のハイデン先輩や外の大会で優勝してるタイク先輩とかかな。2人ともマジで強い。組手見たら動きが追えない時とかあるし」
「2人のスタイルは?」
「ハイデン先輩は魔法主体、タイク先輩は近接主体かな。けど、2人とも魔法や近接戦もエグい」
行くか……? 敵情視察
「えー、では学年混合の競技に出る人は競技ごとに放課後教室に集まってください。集まる場所の紙を貼っておきます」
放課後になり、俺は紙に書かれた教室に向かう。教室に着くと、すでに上級生たちは集まっていた。なにやら異質な目で見られているが気にせず1年生と書かれた椅子に座る。ほどなくしてマリーも来たので話が始まるまで話すことにした
「あのオーラがすごい人たちがハイデン先輩とタイク先輩?」
「じゃないかな。強そ~」
「......勝てる?」
「勝つことしか頭にない」
「そうね、私と戦うときも?」
「勿論。けどマリーを傷つけたくない」
「あら? 勝つ前提?」
「そりゃあ」
そうこう話をしていると教師が入ってきて話を始めた。ルール説明と対戦相手決めだ。順番にくじを引き、書いてある数字に名前を書く。俺は44。マリーは43でうまくいけば次で当たる。俺の対戦相手は7年生の先輩。相手にとって不足はなし。レギュレーション的にインロンもOK、契約魔法もOK。……安全面的に大丈夫か? 殺してしまわないように気を付けるしかない
その後、シード枠の並びも決まり、解散となった。1か月後に迫った大会。足を引っ張らないように頑張ろう
対戦相手の情報収集を始めた。主にボローネからだが……。後は所属するマジックファイト部に忍び込み、どのような選手か実際の眼で見る。その結果ボローネの言っていた通り、槍を中心に扱い、魔法は牽制程度にしか使わないということが解った。まあ、馬鹿正直に全てを公開しているわけでもないだろうし、むしろ切り札があると考えた方がいい。その場合は何だ? 魔法? 魔法なら牽制用の魔法を改良してアウトレンジ戦法として使う? それともなにか近接武器を使って近接戦に持ち込む? だが、今までのスタイルを変えると必ずずれが生じる。ならそこを突くだけだ。幸い相手は7年生という情報が豊富な学年だ。対して俺は1年生であまり情報はないはず。少なくともインロンの機能は解っていない。だが、これは出来るだけ温存したい。俺にとってここは通過点でなければならない。俺はここを圧勝しなければならない。相手は優先権を求めて必死で来るだろう。もしかしたら俺のことを見くびり本気ではこないかもしれないだろうが、そんなことを計算に入れるのは馬鹿げている。相手が全力で倒しに来るという前提で俺は対策し、戦う。目指すは圧勝
大会が2週間に迫った日にとある重大なニュースが学園、いや王国に駆け巡った。そのニュースは……
[特定の4大会に限り優先権による出場の年齢制限を撤廃]
というものだった。その記事をよく見てみると国王が見に行った優先権が付与される大会で12歳の少女が圧勝したことを受け、国王が真の強者を決める大会に年齢制限は無粋であるとしたことによる影響らしい。しかし、伝統や、死傷のリスクも鑑みて、決められた4つの大会で優先権を得た人のみ出場が出来るらしい。その大会にうちの大会も含まれている。決定された4つの大会の内3つは学校の大会、もう1つが、件の少女が優勝した年齢制限がないコロシアムでの大会だ。学校の大会はヴォルクーネ杯でも結果を残している名門の学校から選ばれ、コロシアムの大会は王国最古の大会だ。そのような大会なら下手な出場者は出さないとの判断だろう。けど、そうか
「面白くなってきたな......!」
しかし、この少女。どっかで見たことあるような? ……気のせいか?
Side 少女
私は鼻歌を奏でながら現在住んでいる教会に戻る。私の強さに国王は惚れ、私が思い描いたように規定を改定した。計画通り。私は復讐する。あの教会に。私の、私たちのシュガート様を奪ったやつらに復讐する。あの教会のせいでその時孤児院にいなかった私以外は殺された。アイツらは私から、シュガート様も、友達も、居場所も何もかもを取り上げた。私は絶望した。私たちは敬虔であった。なのに神は助けてくれなかった。私は絶望した
しかし、そんな私にクエイグレイ様は手を差し伸べてくださった。あの御方だけは私を見捨てなかった。クレイグレイ様は私に奇蹟を与えてくださった。そして、新たな住処も下さった。そして月日が経ち、私に命令を下された。国王杯で国王が国の規定を変えるほどの圧勝をせよと。クレイグレイ様の加護のお陰で私は国王杯優勝とヴォルクーネ杯の年齢制限の改定を達成した。クレイグレイ様は大層喜ばれた。私には本当の加護が付いている。だから、私は負けるはずがない
私は私しかいない教会で眠りにつく。昔は寂しかった。けれど、今は寂しくない。クレイグレイ様がいるのだから
「ミリバーブ。これが新しい贄。がんばって強くなるのよ」
ミリバーブというやつを倒せ、クレイグレイ様の像はそう呟いた
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こんにちは、月照です。誤字脱字、誤記等ある場合は報告してくださると幸いです
新しいヒロイン(?)登場です! またの登場楽しみにしていてください!
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