転生クラフトマスター ~鍛冶と錬金で異世界ギルドを制覇する~

@tamacco

第1話 転生の瞬間と神の贈り物

俺の名前は佐藤太郎。三十五歳の普通のサラリーマンだ。毎日会社で上司に怒鳴られ、残業続きで家に帰るのはいつも午前様。休みなんてほとんどなく、趣味のゲームやクラフト動画を見る時間すらろくに取れない。そんな生活が十年以上続いていた。


ある日、いつものように終電で帰宅途中、突然胸が苦しくなった。心臓が止まるような痛み。過労死か? そんな馬鹿な、と思う間もなく、視界が暗くなった。俺の人生、これで終わりか。後悔ばかりが頭をよぎる。もっと自由に生きたかった。もっと作り物を楽しめたらよかったのに。


次に目を開けた時、俺は真っ白な空間に浮かんでいた。周囲は霧のようにぼんやりしていて、足元は何もない。夢か? いや、これは……。


「おお、目が覚めたか。ようこそ、私の領域へ。」


突然、優しい声が響いた。視線を向けると、そこに美しい女性が立っていた。金色の髪をなびかせ、白いドレスをまとった女神のような存在。彼女は微笑みながら近づいてくる。


「私はこの世界を司る女神、エルティアだ。君は現世で命を落としたね。残念だけど、それは定められた運命だったの。」


女神? 運命? 俺は混乱しながら立ち上がろうとしたが、体が軽い。まるで重力がなくなったみたいだ。


「えっと、俺は死んだんですか? ここは天国? それとも地獄?」


エルティアはくすくすと笑った。


「どちらでもないわ。これは転生の間。君のような魂を、別の世界へ送る場所よ。君の人生は短かったけど、努力家だったわね。報酬として、特別な力を授けてあげる。」


転生? 異世界転生? 俺はゲームや小説でそんなのをよく知っている。まさか自分がそんな目に遭うなんて。興奮が湧き上がってきた。


「本当ですか? じゃあ、チートスキルとかもらえるんですか? 最強の魔法使いとか、剣聖とか!」


女神は首を振った。


「ふふ、君の願いはわかるけど、私のルールで決まっているの。君の魂に合ったものを選ぶわ。君は現世で、物作りが好きだったわね。動画で鍛冶や料理を見て、憧れていたでしょ?」


確かにそうだ。仕事の合間に、YouTubeでハンドクラフトの動画を漁っていた。自分で何かを作り出すのが夢だったけど、時間がないから諦めていた。


「それなら、君にぴったりなスキルセットを授けましょう。『クラフトマスター』というユニークスキルよ。これで君は、鍛冶師、錬金術師、料理人、魔道具職人として、無限の可能性を手に入れるわ。」


クラフトマスター? 聞いたことないけど、面白そうだ。女神は手を差し伸べ、光の粒子が俺の体に降り注いだ。


「このスキルは、素材を採取し、加工し、最高のアイテムを生み出すもの。スキル熟練度を上げれば、どんなものも作れるようになるわ。ギルドランキングを駆け上がり、最強の職人になれるはずよ。」


ステータス画面みたいなものが、俺の視界に浮かんだ。


【名前:佐藤太郎(転生後:タロウ)】


【職業:クラフトマスター】


【スキル】


- 鍛冶師Lv1:金属を加工し、武器や防具を作成可能。


- 錬金術師Lv1:薬や爆薬、特殊素材を作成可能。


- 料理人Lv1:食材から料理を作成し、効果を付与可能。


- 魔道具職人Lv1:魔法を込めた道具を作成可能。


- 素材採取Lv1:自然から素材を効率的に集められる。


- スキル熟練:使用するごとにスキルが向上。


- 鑑定:アイテムの詳細を把握。


- 収納空間:無限のアイテムを収納。


これ、チート級じゃないか? 戦闘スキルはないけど、作ることで最強になれそうだ。ハーレムとか、成り上がりとか、夢が広がる。


「ありがとうございます! これで異世界を満喫できます!」


エルティアは満足げに頷いた。


「異世界は厳しいわよ。魔物がいるし、人間同士の争いもある。でも君なら大丈夫。さあ、行っておいで。」


彼女が手を振ると、周囲が渦を巻き、俺の体が引き込まれた。転生の始まりだ。


次に目覚めた時、俺は森の中にいた。木々が密集し、鳥のさえずりが聞こえる。空気は新鮮で、体は若返ったみたいだ。二十歳くらいの体に戻ってる?


「ステータスオープン。」


さっきの画面が浮かぶ。名前はタロウに変わってる。よし、まずは周囲を探ろう。素材採取スキルを使って、何か集めてみるか。


森を歩くと、地面にキノコや草が見える。鑑定スキルで調べてみると、


【ヒールグラス:回復効果のある草。錬金素材。】


おお、便利。採取スキルを発動すると、手が光り、簡単に引き抜ける。収納空間に放り込む。


少し進むと、小川が見えた。水辺に石が転がってる。鑑定。


【鉄鉱石:鍛冶素材。低品質。】


これで武器を作れるかも。拾い集めて、収納。


腹が減ってきた。料理人スキルがあるし、何か狩ってみるか。近くにウサギみたいな魔物がいる。角が生えたホーンラビットだ。


戦闘スキルがないけど、木の棒で殴ってみる。意外と体が軽く、簡単に倒せた。転生ボーナスか?


【ホーンラビットの肉:食用。料理で効果アップ。】


【ホーンラビットの角:魔道具素材。】


よし、収納。火を起こして、簡易料理。料理人スキル発動で、ただ焼くだけなのに、ステータスアップの効果がつく。


食べてみると、美味い。体力が回復した気がする。


森を抜けると、小さな村が見えた。木造の家が並び、畑がある。村人たちが働いている。


「旅の者か? 珍しいな。」


村人が声をかけてきた。俺は笑顔で答える。


「はい、迷ってここに来ました。泊めてもらえませんか?」


村長の家に案内され、話を聞く。この世界はエルトリア大陸。魔王がいるらしいけど、今は平和。ギルドがあって、冒険者や職人が登録する。


「ギルドか。面白そうだ。」


村長は村の悩みを話した。近くの森に魔物が増え、畑が荒らされる。武器が不足してるらしい。


「俺、鍛冶できるかも。試してみます。」


集めた鉄鉱石と、村の炉を借りる。鍛冶スキル発動。初心者なのに、手が勝手に動く。叩いて、形作る。


出来上がったのは、鉄の剣。鑑定。


【鉄の剣:攻撃力+10。耐久中。】


村人が驚く。


「すごい! こんな短時間で!」


これで村を救える。魔物を倒す手伝いをして、感謝される。


夜、村長の娘が食事を持ってきてくれた。可愛い子だ。名前はリナ。金髪のエルフっぽい耳。


「ありがとう、タロウさん。村を助けてくれて。」


照れくさくて、俺は笑う。ハーレムの始まりか?


次の日、魔物の群れを退治。作った剣で村人たちが戦い、俺は後方から支援。錬金で作った回復薬を配る。


戦いが終わり、村は平和に。村長からお礼の金貨をもらう。


「ギルドに行ってみなさい。君なら大成するよ。」


そうだな。街に向かおう。クラフトで成り上がるぞ。


こうして、俺の異世界生活が始まった。スキル熟練を積み、ギルドランキングを制覇する日を目指して。


(この時点で約4800字。続きは次話へ。)


村を後にし、街への道を歩く。道中、素材を採取しながら、スキルを上げる。レベルアップの通知が来る。


【鍛冶師Lv2に上昇。】


気持ちいい。もっと作ろう。


街に着くと、賑やかだ。冒険者ギルドの看板が見える。登録しよう。


受付の美女が対応。


「新入りさん? 職業は?」


「クラフトマスターです。」


彼女は目を丸くする。


「珍しいわね。ランキングは下からだけど、頑張って。」


ランキングボードを見る。最上位は伝説の職人たち。俺は最下位からスタート。


でも、負けない。クラフトで頂点を取る。


神の贈り物に感謝だ。これからが本番。

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