第3話

 三日目。

 私は、意図的に行動を変えてみた。

 朝食のトーストを食べずに、学校に行った。母は驚いた顔をしたが、それ以上は何も言わなかった。

 英語の小テストでは、わざと全問不正解にした。

 昼休み、美優が話しかけてきた。

「ねえ、そら。佐藤くんって、どう思う?」

「興味ない」

「えっ……そ、そう」

 美優は傷ついた顔をした。私は少し罪悪感を覚えた。

 放課後、怪物は同じ場所に、同じ時刻に出現した。

 私は倒した。


 四日目。

 朝、母は「朝食を食べなかったこと」を覚えていなかった。

 英語の先生は「全問不正解だったこと」を覚えていなかった。

 美優は「興味ない」と言われたことを覚えていなかった。

 すべてがリセットされていた。

 私の記憶と、ノートの記録だけが、日々を跨いで保持されていた。


 私は、ルナに問い詰めた。

「ルナ。何が起きてるの」

『何って?』

「同じ一日が繰り返されてる。私以外の全員が、毎日同じことをしてる」

 ルナは、少し間を置いてから答えた。

『そら。君は、いつからそのことに気づいていた?』

「……三日前から」

『そう。今回は早かったね』

「今回?」

『君がこの質問をするのは、二百三十七回目だ』

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