第4話

「2人目の挑戦者はこちら!!炎の大魔法使い、エミュレット!!」

小柄でローブはぶかぶか、袖は垂れている。大きめのとんがり帽子で顔は隠れていて見えない。

「レディー、ファイッ」

今度は実況も察したようで、早々と試合を始めた。

 エミュレットはいくつもの火の玉を繰り出す。エリザ姫はタタッと躱すが、一つ二つ、三つ四つ五つとしつこく放たれる。また、火の玉は単調な直線だけでなく、曲がってきたり、追尾してきたりと、やっかいなものだった。防戦一方、しかも際限なく放たれる火の玉にスタミナが削られる。

 と、エリザ姫もやられっぱなしではなかった。一つ躱すごとに、少しずつではあるが、距離を詰めている。そのまま、自分の間合いに入れば……

 それに気付いてか、エミュレットは見えてるかどうか分からない口端をにぃと上げた。

「くらえっ、秘術大炎龍っ!!」

そう言うと、業火が放たれ、それは形と成していき、巨大な龍となってエリザ姫を襲った。

 しかし、忘れてないだろうか??エリザ姫は、ドラゴンを一刀両断できるのだ。

 斬っ!!

 業火の龍は真っ二つになる。と同時に大技を出したエミュレットに隙が生まれ、エリザ姫は一気に間合いを詰めると、大きなとんがり帽子を切り落とした。

 エミュレットの隠れていた顔が露わになると……エミュレットは子供だった。

「うわぁぁん、お姉ちゃん、ごめんなさいぃ」

大粒の涙を零すエミュレット。それを見て、エリザ姫はため息をついた。

「ねぇ、これって私の結婚相手を探すための闘技大会よねぇ??どうして、君みたいな子供が??」

「僕の村は日照り続きで、みんな食べるものもなくて……僕がお姫様と結婚したら、村を助けて貰えるんじゃないかって……」

「んもう、結婚なんてしなくても、村は助けてあげるわよ」

そう言うと、エリザ姫はエミュレットの髪をくしゃくしゃと撫でた。

「勝者、エリザ姫??」

実況はあやふやな感じで勝ち名乗りを上げた。

 

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