予言者P子

パンダ嫁のP子は、筋金入りのドラマ好きだ。

ただし観方が一風変わっている。物語を追うというより、未来を見ている。


ある晩、食卓でお茶をすすりながらドラマを眺めていたP子が、ポツリと言った。


「この子は売れる」


画面に映っているのは、まだ名前も知られていない十代の女優――あるいは子役。

芸能プロのスカウトか? と思う口ぶりだが、本当に驚くのはそれから先である。


十年後、本当にその子が売れるのだ。


私から見れば派手さも特徴もないのに。P子は演技力で将来を見ているらしい。

以来、私は内心で彼女を「予言者P子」と呼び、ドラマに関しては一目置いている。


そして、テレビで忘れられない一件がある。


「最近、面白いドラマない?」と私が訊くと、P子は即答した。

「カナコちゃんが面白い」

「誰?」

「加奈子ちゃん」


私が首をかしげていると、P子は将軍の顔になり、無言でリモコンを握った。

次の瞬間、消えていた大画面テレビが点き、バーンと女優のドアップ。


P子がドヤ顔で言う。

「これ。加奈子ちゃん」

「あー、この人か」テレビでたまに見る人だった。


脇役の女優が、ちょうどドアップになっている瞬間に電源を入れる確率。

それを平然と引く確率って?


くじ運は悪いP子だが、テレビ運だけはめっぽう強い。


たぶん彼女は、番組表ではなく運命表を見ているのかも知れない。

(オカルトエンド)

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