2本目 不人気ゼミの教室
「えー、どうも、皆さん初めまして。」
大荒れのポーションゼミの教室に担当教員であるリド・ユーステンが入ってくる。
「まーね、毎回こうなんですよ。ポーションなんて、地味ですから。ただ、一応教員なのでね、お灸を据えようと思いまして。」
そういうと、ガチャンッと音を立てて、リドは木箱を教壇の上に置く。
「えー、この中でポーションをやりたいなーと思ってここまで来たって人は手上げて。」
これに、リノだけが手を上げる。
「おぉ…珍しい。よし、君だけこっちに来なさい。体験させてあげるよ、ポーションとはなんたるかを。」
リノは、言われた通りに教壇の方に向かう。
「えー、数少ない生徒が、煙草吸ってたり、戦って壁を壊してたり、寝てたり、他の生徒に乗ってたり…どうしようもないんでね。一度、黙らせようと思います。」
「え?」
リノはリドに渡されたマスクをつける。そして、リドは教壇のスイッチを押す。すると、窓とドア、換気扇が完全に締め切る。
「は、なんだこれ!ちょっとまて!!」
「待たないでーす。」
その瞬間、リドは持ってきたポーション瓶の一つを地面に向かって投げる。すると、中からモクモクと煙が出てくる。中には、口や鼻を塞ぐ生徒もいるが、時すでに遅し、いずれは呼吸しなければいけない時が来る。
その一呼吸で、生徒たちは倒れてしまった。
「これでいいかな。」
リドがもう一度スイッチを押すと、換気が始まり、教室からポーションがすべて出ていく。
「これが、ポーションの力です。」
「い、いやいやいや!何してるんですか!みんな倒れちゃいましたよ!!」
「まー、これくらいしないと、問題児は話も聞いてくれないからね。にしても…今回はズルヴェナ配合しすぎたな…」
「うん、4時間は起きないね。」
「えー!?」
「てなわけで、移動するから、ちょっと手伝って。」
「え、は、はい!」
*
「ん…あれ?ここは…?」
「あら…どういう…?」
「うわっ!?なんだここ!!」
生徒たちが次々に目を覚ますと、そこはさっきまでいた教室とは違い、地下の実験室のような場所だった。
「はい、おはよう。問題児諸君、それと一人の常識知らずちゃん。」
リノは恥ずかしそうに頭をかく。
「とりあえず、今日はポーションの基礎について…」
「ちょっと待てよ!!」
カチャ
リドはポケットから小瓶を取り出す。
「ま、待ってください…!」
さっきのでビビってしまったのか、さっきまで煙草を吸っていた生徒は敬語になる。
「ここは、なんなんすか?」
「さっきの教室じゃなさそうね…。」
「まるで、実験室ですな。」
「質問に答える前に…アルグ・デヒト。そうやってすぐに椅子になりに行かない。そして、ファンデ・モートもそれを受けない。」
「あら、ダメですか?」
「ダメに決まってるだろ。」
「そんなぁ…。」
アルグは、静かに立ち上がり、自席に戻る。
「えっと、さっきのは集合場所だからね。仮教室的な?各ゼミにはそれ相応のゼミが与えられるわけ。うちは実験ばっかだからこんなとこってわけ。えーっと、それじゃ、一応点呼させてもらうぞ。」
「アルグ・デヒト」 「はいです。」
「クロウ・マキーナ」 「うす。」
「ウェイド・ヒナタ」 「はーいっ!」
「ネイド・ヒナタ」 「はーい…。」
「ライゾウ・ライヤ」 「御意」
「ファンデ・モート」 「はーい♡」
「リノ」 「はい!!」
「ゲルバ」 「…」
「ナイト」 「はい。」
「ダノ」 「はい…。」
「以上だな。それじゃ、これから4年間、お前らには…剣術よりもダサく、魔法よりも稚拙、医学よりも不便。そんな風に言われるポーション学について学んでもらう。さっきので実体験は終わりだ。これから先はフィールドワークと実験中心で授業を行う。今日は疲れただろ。あとは生徒で自己紹介でもするといい。」
そう言って、リドは教室を出ていった。
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