第23話:世界が滅んでもそれは絶対ないと思え!!

「ちょっと、録画用のDVD買って来るから、その間、野次馬を相手に

しててくれ」

「ヨコチ・・・シルマに変なことするなよ、それから変なことも教え

るなよ」


太陽君はヨコチ君にそう言って出かけようとすると、


「私も行く・・・」


ってシルマが立ち上がって太陽君について行こうとした。


「あ、ダメダメ・・・パンツ履いてないんだから急に立ち上がらない」

「そうか、DVDの前にパンツだな」


「見えたぞ・・・黒い闇が・・・」


「ヨコチ・・・また鼻血出てるぞ」


「いいか?シルマはここにいろ、いい子だから」

「君がここにいないと・・・主役がトンズラってのは、マズいだろ」


いやいや、シルマがここにいるから野次馬が集まるんだ・・・。

でもな〜どこかへ連れて行くたって・・・家を出ようもんなら、たちまち

野次馬に見つかっちゃうし・・・。


「よかったらシルマちゃん俺んちで引き取るぞ・・・友達のよしみだからな」


とティッシュで鼻血を拭きながらヨコチ君。


「論外!!」

「却下!!」

「世界が滅んでもそれは絶対ないと思え!!」


「人の親切を無にしたらあとで後悔するぞ、太陽」


「ヨコチ、おまえになんか任せるほうが後悔するわ!!」


シルマは太陽君のシャツを引っ張って


「私、ヨコチンのところになんか行きたくない」


ってまた口を尖らせた。

太陽君は、どさくさに紛れてシルマにチューした。


「あ〜俺の前でチューなんかしやがったな」


「お前は論外のやつだろ〜が、ヨコチン」


「ヨコチンってなんだよ?」


「シルマがおまえにつけたあだ名だよ・・・ぴったりだわ」


「ふん・・・じゃあ、シルマちゃん僕といこう、ホームセンター」


ヨコチ君がまた、シルマがイラつくようなことを言った。


「嫌です〜」


「なんで・・・行こうよ」


シルマはヨコチ君をイヤそうに指差して太陽君にしがみついた。


「ヨコチン、おまえはシルマから男って言うか、人間って思われてない

みたいだな・・・ゴキブリに変えてもらうか?」


「お〜そうだ・・・俺はシルマのパンツ買って来るから、おまえはDVD買いに

行ってくれよ、・ひ・と・り・で・・・頼むよヨ〜コ〜チンく〜ん」

「ここはおまえしかいないな・・・よろしくな」


ヨコチ君は、シルマに嫌われてるんだけど認めようとしなかった。

悲しみもしないし、嘆きもしない。

自分に都合の悪いことはスルーしてしまう性格のようだ。


つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る