終末のエカテリーナ 〜火星から来た性別不明の言語工作員が日本の中学校で「終わった」を監視していたらパンを落とした男子に恋して宇宙崩壊カウント9999が始まった件〜

灰色鋼

エピローグ

 地球言語管理第三十七任務、開始──。

 エカテリーナ・トモリは火星第七言語調査局の工作員だ。火星人は性別がない……のだが、便宜的に女子中学生の姿を取っている。


 超科学の賜物だ。


 彼女(かどうかは議論の予知はあるが)は潜入工作に臨み、地球語習得のための居住区照射受容に臨んだ。ところが座標が数百キロずれ、日本の北半分と極東ロシア沿海州との混合領域に誤接続してしまった。ちなみにそのことに彼女は気付いていない。


 結果、彼女は「ニホン語とヘンなロシア語」の融合言語を口にするようになった。そして同時に彼女は日本人とロシア人のハーフのような美貌を手に入れたのだった。


 教室の扉がものすごい勢いで開いた。そこにはスタイル抜群、長い金髪と彫りの深い顔立ちの美少女が立っていた。彼女の声が不気味な抑揚とイントネーションで教室に響いた。


「ニンゲンノ язык(ヤズィーク) и(イー) シューマツ ノ カンケイ исследую(イッスレドユーユ)」


 2年B組の朝のホームルームに突然乱入してきた美少女の意味不明の挨拶に担任教師は固まったが、生徒たちは彼女の美しさに目を奪われた。


 しかして彼女にとってこれは、宇宙の災厄に抗う任務の始まりだった──。

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