狩屋襲来
目覚ましの音が聞こえ目を覚ます。
時間は朝の6時だ…とても眠い…昨日は家に帰ってすぐ寝ようと布団に入ったが案の定、頬にキスされた事を思い出して悶々としてしまいなかなか眠れなかったからだ。
そんな状態ではあるが期待して貰っている以上は手を抜く訳には行かないので気合いを入れてお弁当作りを始める。
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「義姉さんの分のお弁当ここに置いておくから、それじゃあ行ってきます!」
「は〜い、わかったよ〜いっらっしゃい〜♡」
義姉さんに見送られて学校に向かった。
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「ユウト昼飯いかない?」
声をかけてきたのは、クラスメイトであり親友の飯島幸太郎(いいじま こうたろう)だ。
かなり大柄な体系で強面だが手芸部で可愛いもの好きというギャップ持ちで、そしてなにより超がつくほど優しい。
という理由でついたあだ名は‘‘クマちゃん‘‘だ。かわいいね。
「おう、今日は冬子とたべるから良かったら一緒食うか?」
「あ、なるほどね、邪魔しちゃ悪いから僕はいいよ。」
「別にそんなことは」
「いいから、いいから!多分だけど冬子ちゃんも二人きりのほうが嬉しいだろうからね!!」
というわけで冬子と二人で昼食をとるために、作ったお弁当を持って彼女のいるクラスまで向かうとそこには狩屋がいた。
「ふゆちゃ~ん、僕とお昼一緒にどうかな?」
「すいません先輩、今日は友達と約束しているので無理です。」
真顔でバッサリと狩屋の誘いを断る冬子、流石の塩対応である。
「じゃあその友達も一緒でいいからさ、ね?」
「友人も嫌がるでしょうし無理です。」
「そういわずにさ?僕からも友達に頼んであげるから?いこ?」
そう言って彼女の腕を狩屋がつかもうと手を伸ばした。
そこに割って入り彼女に触れようとしたその汚腕を掴んで止めた。
「すいませんね先輩、その子今日は俺と約束してるんで」
「なに?誰君?」
「2年の神付っす、今日は冬子と二人で食べたいんで帰ってもらっていいですか?」
「なんで君にそんなこと言われなきゃいけないのかな?
君が彼氏とかだったらそう言うのは分かるけどさぁ、違うんだろ?」
そんなやり取りをしていたせいか、他の生徒たちの視線がこちらに向きザワつきだす。
『あれ?鉄人番長と狩屋先輩?』
『なんだなんだ?もしかして冬姫取り合ってる??』
『キャーー♡不良とイケメンでお姫様取り合ってるなんて少女漫画みたいでメロいんだけど~♡』
外野が五月蠅い…というか俺不良じゃねぇし!!鉄人番長ってなんやねん!!変なあだ名つけんなや!!
っていうか今はそれどころじゃねぇ!!
「確かにちがうっすね。」
「だったら…」
「‘‘まだ‘‘彼氏じゃないっすけど、近いうち‘‘そうなる‘‘予定なんで邪魔しないでもらえますか?」
「ユッ…ユウ?!」
そう言って狩屋の腕を掴んでいる手に力を籠めて睨み付けると、その痛みで彼の表情が少しゆがむ。
そして俺の手を振り払い、諦めたのかそのまま黙って教室を出ていった。
そして狩屋が出ていくのを確認してから冬子の方を向くと、彼女は耳を真っ赤にしこちらを見てプルプルと震えながら
「ア、アンタ何言ってのよ!!」
「何って?」
「だから…かかかか、彼氏になる予定とか言ってたでしょ!?」
「まぁ言ったけど…嫌…だったか?」
「い、嫌ってわけじゃ…」
『え?え?今の告白??』
『アイツやりやがったぞ!!』
『キャーーーー♡超メロいんだけど~~~~♡♡♡♡♡』
とりあえず外野がうるさいので別の場所に移動うと思い、俺は彼女を抱きかかえると走って教室から出た。
「ちょ、ちょっと!」
「ココだと落ち着いて食えないから屋上いこうぜ。」
「わ、分かったから!降ろしなさいよ!」
「ん?重いのか気にしてるのか?全然重くないから大丈夫だぞ?」
「そうじゃないから!!もう!!ユウのバカァああああああああああぁぁぁ!!」
走っている途中周りから『鉄馬に乗った冬姫のお通りだぁ!!道を開けろー!!』やら『鉄人と美女の異種族カップルだ!!』だとか、挙げ句の果てには老け顔の男子生徒がこちらに親指をグッと立てながら『神付…かましてこい』とか言ってくる始末…お前誰だよ…あと俺は人間じゃい!!
そんなこんなで屋上に着いた。
ウチの学校は今どき珍しく屋上を解放している学校だ。ただやはり万が一なにかあっても困るという事で、有刺鉄線で巻いた高い柵で囲まれているため獄中にいるような気分を味わえる。
そのため一部に人達に人気なスポットでもある。
屋上の隅の方まで行くと冬子を降ろして鞄から弁当出して渡す。
「ううぅ〜…ばかぁ…どんな顔して教室戻ればいいのよ〜…」
「戻る時もお姫様抱っこするか?」
「しなくていい!!バカぁ!!」
「ゴフッ?!」
美しい右ストレートがみぞおちに決まる。
そろそろ本気で怒りそうなので弄るのをやめてお弁当で機嫌を取ろう。
「すいませんでした…これお弁当です…どうかこれでお許しを…」
「全く…今日はこれで勘弁してあげるわ」
弁当を広げ2人で食べ始める。
今日のメニューは昨日に引き続き生姜焼き、それとは別にプチトマトにブロッコリーそして卵焼きを用意した。
「生姜焼きは言わずもがなだけど、この卵焼きも美味しい!」
「だろ?今日の卵焼きはかなりの自信あるぞ!なんせ何時もより早く起きて何回か作り直したからな!!」
「そこまで頑張ってくれたの?」
「そりゃ昨日あそこまでして貰ったら……あ…」
「……」
昨日の柔らかいファビュラスな感触を思い出してしまい言葉に詰まると冬子と目が合う。
どうやら彼女も昨日のことを思い出したようで顔を赤くしていた。若干気まづい雰囲気になってしまったので強引に話を切り替える。
「……そ、そういやのヤツは学校でもあんな感じで絡んでくるのか?」
「ええそうね、クラスにまで来たのは今日が初めてだけど」
「そうか…その調子だと放課後もまた来そうだな…ヨシ!今日は俺もバイト場まで一緒に行くわ」
「そうしてもらえると助かるわ…それにしても茜先輩があの人はホントはあんな感じの人じゃないって言ってたけど本当なのかしら…」
「茜先輩が?」
「ええ」
茜先輩は冬子が入ってる委員会の人で狩屋と同じ3年の先輩だ。
俺も話した事があるが礼儀正しくとても良い人で狩屋とは正反対という印象だ。
「あの二人幼馴染みたいなの、小学校まではよく遊んでたみたいだけど、中学校の時なにかあったみたいでそこから話さなくなっちゃたみたいで…」
「何かって?」
「それが教えてくれないのよ…ただ私が信じてあげなかったせいだって…それしか教えてくれなくて」
「なるほどなぁ…」
茜先輩に会ったら俺も聞いてみるか…
その後昼食を食べ終わり、冬子を教室まで送るとクラスメイトが『番長が戻ってきたぞーーーー!!』と言うので、つい悪ノリして「皆の者!!我が冬姫を送り届けにきたぞ!!」と言うと隣から彼女の美しい(以下略)が飛んできたりした。痛いぜ…
それから自分のクラスに戻ろうと歩き始めると天子の声が聞こえた。
(間違いない、あの狩屋という男‘‘蛇気(じゃき)‘‘に憑りつかれておるのじゃ)
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