第5話 光る!マジンカーブレード!

 ルーラー――R級。それが、五体。横一列に並んで、こちらに向かってくる。


〈対象確認――危険度S個体〉

〈優先排除目標に指定〉

〈全機、攻撃態勢――殲滅モード移行〉


「カレン、シートベルトしっかり締めろ!」


「は、はい!」


 俺はハンドルを切った。マジンカーZが急旋回する。


 

 直後――。


 ドォォォンッ!!


 五門の砲撃が着弾した。爆発が起き、砂と土が舞い上がる。


「うわっ、マジかよ!」


 俺は必死にハンドルを切る。衝撃で車体が揺れた。助手席のカレンの身体も大きく揺れ、豊かな胸が跳ねる。……今はそんなこと気にしてる場合じゃない。


『マスター、このままでは包囲されます!』


「分かってる! 何か手はないのか!?」


『……実は、一つ武装があります』


「武装?」


『はい。レーザーブレードです。フロントガラス上部のアンテナから、魔力で形成された剣を展開できます』

 

「あのアンテナ!? ルーフの上にある? あのよく分からないアンテナに、そんな使い道が!?」


 カレンも目を丸くした。


「え、Zさんの屋根の上にある、あの細い棒みたいなのが武器になるんですか!?」

 

『突進しながら敵を斬撃します。ブレードアタックと呼称します』


「いや、待て待て。その技名って――」


 ドォォォンッ!!


 また砲撃が飛んでくる。俺はハンドルを切り必死に回避した。


「って、そんなこと言ってる場合じゃねえ! やるぞ、ゼット!」


『了解しました。レーザーブレード、展開します』


 マジンカーZのフロントガラス上部――アンテナ部分が、青白く光り始めた。


 そこから、光の刃が伸びる。


 一メートル、二メートル、三メートル――。


 最終的に、五メートルほどの巨大な光の剣が、車の前方に突き出た。


「うおおお!? マジで剣出た!?」


『はい。これより突撃します。しっかり掴まってください』


「お、おう!」


 マジンカーZが加速する。


 ギャアアアアアアッ!!


 エンジンが吠え、青い魔力の尾が伸びる。そして、屋根の先端には光る巨大な剣。


「うおおおおお! これ、めちゃくちゃかっこいいな!!」


『ありがとうございます、マスター』


 一体目のマシンデウスが、腕を伸ばしてくる。


 だが――。


「遅い!」


 俺はそのまま突っ込んだ。


 ザシュッ!!


 レーザーブレードが、マシンデウスの腕を火花を散らせながら切断した。


「マジで斬れた!?」


『そのまま股下へ!』


「行くぞおおおお!!」


 マジンカーZが、マシンデウスの股下に突っ込む。


 ザシュゥゥゥンッ!!


 レーザーブレードが、装甲を切り裂いた。


 五メートルの巨体が、真っ二つに斬られて倒れる。


〈警告:未知の攻撃手段――回避不能〉

〈全機、警戒レベル最大〉


「よっしゃあ! 一体撃破!」


 俺は興奮していた。車で敵を斬るなんて、こんな経験、人生で初めてだ。


『マスター、続けます!』


「ああ! 全機斬り伏せる!」


 マジンカーZが旋回し、二体目に突っ込む。


 二体目が砲撃してくる。だが、俺はドリフトで回避し、横から接近した。


「油山で鍛えた技、見せてやる!」


 ドリフトしながらの突進。レーザーブレードが、二体目の脚を切断する。


 ザシュッ!


 マシンデウスがバランスを崩して倒れた。


 俺はそのまま加速し、三体目へ。


「三体目!」


 三体目が、両腕の砲身をこちらに向ける。


 だが――間に合わない。


 ザシュゥゥゥンッ!!


 レーザーブレードが、胴体を真っ二つに斬り裂いた。


 火花が散り、マシンデウスが崩れ落ちる。


「残り二体!」


 四体目と五体目が、同時に砲撃してくる。


『マスター、危険です!』


「分かってる! でも――避けない!」


 俺は真っ直ぐ突っ込んだ。


 砲弾が迫る。だが、レーザーブレードが――。


 ガキィィィンッ!!


 砲弾を真っ二つにした。


「剣で弾丸を斬れるのかよ!?」


『魔力で形成されていますので、可能です!』


「すげえ! じゃあ、そろそろ決めるぞ!」


 マジンカーZが、四体目と五体目の間を突っ込んだ。


 左右から挟み撃ちにされる形だが――。


「両方まとめて斬る!」


 俺は車体を横滑りさせながら、片足走行になり、レーザーブレードを振り回した。


 ザシュ! ザシュ!


 左右のマシンデウスが、同時に切断される。


 二体が倒れた。


 

 そして――静寂。


 荒野に、マジンカーZのエンジン音だけが響いている。


『全機、撃破しました』


「はぁ……はぁ……勝った……」


 俺は深く息をついた。汗が噴き出している。でも、爽快感があった。


ゼット、お前すげえな! 剣まで出せるなんて!」


『ありがとうございます。他にも隠し武装がありますが、それはまた今度』


「他にもあるのかよ!?」


 カレンが、恐る恐る顔を上げた。


「お、終わり……ましたか……?」


「ああ。大丈夫だ」


 カレンは窓の外を見て、息を呑んだ。


「あの……剣で。……五体もマシンデウスを……」


「俺も驚いてる」


 俺は笑った。


「でもまあ、ゼットならこれくらいできるよな?」


『当然です、マスター』


 

 そして――。


 カレンが、前方を指さした。


「あ……あれ……!」


 俺は顔を上げた。

 地平線の向こう、朝日が昇り始めていた。


 美しく荘厳な壁。その向こうに、無数の建物が立ち並んでいる。そして、城壁の上に聳える白い柱の先端には――。

 旗が、はためいていた。

 

 赤とオレンジの旗。中央の赤い球体から外側へオレンジを巻き込みながら螺旋が広がっていく。まるでエネルギーが放射されているような、力強いデザインだ。朝日を浴びて、その紋章が輝いている。

 

「あれが……聖都の旗……」

 

 俺は呟いた。

 

 不思議だ。初めて見るはずなのに、なぜか……なぜか、安心する。胸の奥が温かくなるような、そんな感覚。

 

 まるで、長い旅の果てにようやく辿り着いた大切な場所を見つけたような――そんな気持ちだ。

 

 カレンが呟いた。

 

「はい……人々が集い、希望を創り続ける都……聖都エネオス……」

 

 カレンは涙を流しながら、笑った。

 

「着いた……着いたんだ……」


 俺はハンドルを握り直した。少し疲れているが、大丈夫だ。


「行くぞ、ゼット。待ってる人たちがいる」


『了解しました、マスター』


 エンジンが唸りを上げる。

 マジンカーZは、朝日に向かって走り出した。


 

 聖都エネオスへ――希望の地へ――。



 ――――――――――――――――――――――――

 【追伸】 同時連載中の作品

『勇者著『僕の兄さんは最強です!』~劣等者と呼ばれた兄が、主神殺しの大罪人になるまで~』

 https://kakuyomu.jp/works/822139840174143136

 も、よろしくお願いいたします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る