第3話
掌編・『男ざかり』
クオリティーペーパー・「NYdays」の、コラム執筆者である、ボビー・ブルーバーグ氏は、モーニングコーヒーを啜りながら、日に一回書くのがノルマの、「One's Inside」という匿名コラムに何を書くか、構想中だった。
彼はいつも、非常に小粋なニューヨーカー、ファッションセンスそのほかがエクセレントな若々しいモデル級の美女、を装っている。
で、ハンドルネームは「BB」。 ちょっと昔の女優のブリジットバルドーを連想させたつもり。 で、蓮っ葉なヤンキー娘のような口調で、辛辣に時事問題をぶった切るのだ…人気が出ないわけがない。 が、執筆しているのが実はロマンスグレーのオジサマ…そう知ったらみんなオッたまげるだろう…
少し考えたのちに、「ま、書きながら適当に考えるか! 何とかなるんじゃなかな?」と、曖昧な気分で、
「こんにちは! BBです。 昨日は飲み過ぎてハングオーヴァー。小粋なバーを4軒もはしご…たくさんの大金持ちのセレブに出会っちゃった。 中にね、なんとあのビルゲイツまでお目見え! Mザッカーバーグも陽気に騒いでたし、Dアッカーマンもトンベリをラッパ飲みしていて…果てはSジョブズの幽霊まで現れた! ビッグアップルにはやっぱりオレがいなくちゃ!ってジョークを言って大笑いされてた。
どこまで本当かって? ご想像にお任せするわwww
このwww、だいたいURLのアタマについている三文字は worldwideweb の略称。 世界中に張り巡らされた蜘蛛の糸、っていう意味ね! だからハッカーやらアノニマスはいわばスパイダーマン? アノニマスはもちろん「匿名」ってことだけどホワイトハッカーの集団よね。 私もなれるものならなりたいわよね! 「自警団」、「自粛警察」なんていうのはだから志願兵、義勇兵みたいな? 男気とか義侠心の発露の、およそ男らしい限りの行為、シゴトだから…
警官やら消防士、兵士はもちろん、そういう「みんなを守る」ていうのが男性の本来の役割で、ポリスていう言葉も、ギリシャの小国家の強固な守りからの連想…これはあたしの推測だけど。
ハルマゲドン、ていうのは最終戦争の意味で、「善と悪の戦争」とされていて、「最後の審判」ていうミケランジェロの絵があるけど、あれに似た発想よね。
陰謀論は権力のある財閥はすなわち悪の権化で、それはピケティもそう言ってたけど、資本主義社会の強迫観念的な運命みたいなもの? よく見る悪夢の
アタシの考えでは、プーチンもそうだけど、人々の中にある誤った信仰…いろんな偏見、先入観? 頑迷固陋な、新技術やアイデアを柔軟に理解して取捨選択していくことの邪魔になる、「過去の亡霊」なんだと思います。
第三の波、ていう本が売れたのもずいぶん以前ですが、そういう怒涛のような変革の嵐? 追随するのも大変だけど、人類史的な必然なのはかなり前からの常識で、なんなら予定調和と言ってもいい? ハルマゲドンは神話で、ローマ会議は終末時計にかまびすしいけど、そういうことをどうにか乗り越えて、その先を見据えていくのがこれからのトレンド。 全く新しい世界のグランドデザインが必要で、…ああ、わかんなくなった。 あんまり考えられないのは、最高にアセトアルデヒドでアタマがズキズキしていて、絶不調だからね! <BB>」
「ま、これでいいか!」 ボブはつぶやいて、すぐ原稿をメールで送った。
そうして、週末をフランス人の
<了>
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