第6集 月明かりとメランコリー
9月24日
『女神』
美しき光をまといて
実りあるやさしさよ
光のどけき春の様に
うららかな優しさで
歌う様に貴方は笑い
囁くように微笑んで
我が女神よ愛よ光よ
永遠であれ愛の人よ
9月25日
『骨と月光のデカダンス 』
月明かりに照らされた白い砂浜は
死後の世界の様に冷たく暗く輝く
夜の底は滅びの世界、死の夢の中
歌う声が宵の永遠の中に溶けゆき
はるかかなたの遺跡は白い大理石
退廃的な影をして月の底にしずむ
デカダンスの芸術よ世界よ月光よ
センチメンタルなメランコリーよ
9月27日
『余裕』
朝に飲む一杯のコーヒー
私の心を穏やかにしてくれる
幸福な時間というのは
ほんのちょっとした余裕から
生まれてくるのだろう
余裕をなくしてしまった現代社会
余裕を無駄という言葉に置き換えて
心を取り戻す時間すらなく
コスパ、タイパの先にあるのは
回復すらできずに壊れて行く未来
『両手いっぱいの愛を』
両手いっぱいに愛を抱えて
あなたに会いに行った
きっとあなたは一人
泣いているだろうから
ずっとそばにいてあげる事が
できればいいのに
空っぽになるまで 私の愛を
あなたにあげる
だからお願い 泣かないで
どんなに遠く離れても
あなたのことが大切と
ずっとずっと好きだよと
覚えていて欲しい
『狂い咲き』
うららかな日差しの中で
狂い咲きの桜が咲いてゐた
夢見るような日常は
無理ばかりを誤魔化して
次第次第に狂ってゆく
夢の様に花が咲き
桃源郷の様な光景は
無理と現実逃避の賜物で
全ては虚栄、幻影だ。
表面ばかりの金メッキ
ほら、厳冬がやってくる
ちらつく 雪に白い
『笑いあえた日』
幸福は目に見えず…
だがそれはきっと
何より美しいもので
私とあなたを包み込み
きらめく笑い声へと
日々を変えるのだ
美しきバラ色の日々よ
笑い声の煌めきは
星よりやさしく
月よりおだやかに
日常を形づくる
どうかこの幸福な日々が
ずっとこのまま続きます様に
9月28日
『綿帽子』
夜の闇の中、開いた綿帽子
優しい夜風に吹かれて
涼しい星月夜に旅に出ます
兄弟たちと生まれた土地と
さよならをして
一人で飛ぶのは怖いよぅ
真っ暗な空は怖いよぅ
でも大丈夫
月が星が優しく見守ります
やがてあなたはたどり着くでしょう
穏やかな日の当たるその土地で
あなたは生きるのです
『ペルソナ』
毎日どうにも
ままならない事ばかり
言いたい言葉を飲み込んで
鏡の前で笑顔を一つ
私ちゃんと笑えてるかしら…
笑顔は涙でできていて
本当は笑ってなんかいないんだ
うまくいかない毎日に
さよならを言いたいけれど
もちろんそんな事できなくて
昨日と同じ今日が来る
9月30日
『風に吹かれて』
木漏れ日が優しく
穏やかな風が
木々を揺らします
木陰でまどろみながら
目を閉じるとコオロギの
愛の歌が聞こえます
木の実がころんころんと転がって
リスが走ってまわります
秋の風がやさしく頬をなでて
実りの季節がめぐります
『一匙の愛』
スプーン 1匙分の
愛をちょうだい
贅沢は言わない
ほんの少しだけ
あなたの愛が欲しい
苦いコーヒーに
スプーン1杯分の愛を
入れてかき混ぜて
辛い現実がほんの少し
優しくなるように
泣きたくなる様な
今日がほんの少しだけ
幸福に終わるように
ほんのわずかな
あなたの愛を…
10月2日
『帰還』
あなたの帰りを待っています
いかなることがあろうとも
千年だって待ちましょう
あなたを想って待っています
あなたの微笑み あなたの声
永遠が刹那よりも短く
星の煌めきより幽かであろうとも
あなたの事を待っています
愛という言葉ではあまりに 短すぎて
語れぬこの想いを胸に抱いて
10月3日
『リボン』
心に結びつけていたリボンがほどけてしまった
それは私の心をつないでいた鎖のようで
それは私の心を守っていた包帯のようで
柔らかな絹のような言葉でできていて
解き放たれた心は自由かもしれないけれど
この嵐のような空を飛んでいけるのだろうか
海を飛ぶ渡り鳥の強さで私の心は飛ぼうとする
10月4日
『枯れた花』
窓に吊ったドライフラワーは
初めてのデートのプレゼント
すっかり色褪せてしまって
枯れてしまった私の心と同じだ
歳月というのは残酷なもの
美しい記憶を永遠に閉じ込めたくて
ドライフラワーにしたけれど
それすら歳月が奪ってしまった
乾いてしまった心にカサカサと
砕けた花びらが舞い落ちる
10月5日
『みのりの秋』
晴れ渡った散歩道
金色に稔る稲穂の
恵みが心穏やかに
秋風が吹く
頬をなでて
努力と慈しみで
出来た金の稲穂よ
恵みの季節よ
『暗闇』
寂しい 辛い悔しい悲しいと
言葉に変えて出してしまえば
きっと心が楽になるのでしょう
けれどそれをすることが
一体どれほど困難なのか
あなたにはきっと分かりますまい
心の中に生まれた儚いくらい暗闇に
誰一人気がつかないのでしょう
泣いている私の心は誰にも
見つけることができないのです
『満月』
淡く優しく朧月夜の晩の
愛しき貴方のその体温に
一人頬を赤らめて微笑む
夜の夢は儚く微睡みの中
麗しきただ幸福たる日々
十五夜の晩に聞こえるは
ただ静かなる虫たちの歌
今宵、愛が実を結ぶなら
私はただ君が為この身を
光と変えて君の為の月に
星に空になる事を誓おう
10月9日
『いつものラブレター』
あなたの為にしてあげられる事があるだろうか
私はたいして力になれないかもしれないけれど
いつもあなたの力になりたいと思っているんだ
上手に言葉をつなげないけれど、いつもいつも
あなたの事ばかり考えてるあなたが好きだから
うまく言えないけど私の思いが伝わるといいな
10月10日
『夜露』
群青色した涙の花束
私はすっかり夜の色に染まって
暗がりに一人いる
このまま 小さくなって
溶けてしまえば良いのにと
群青色した花に埋もれ
夜の底にポツンと 1人
涙はすっかり 花園になって
月明かりに透けて輝いている
夜明けの黎明――
光と共に朝露になって
涙は消えて無くなるだろうか
『月見草讃歌』
無垢なる花よその蕾には
世界が知らぬ色をたたえ
夜の蕾の中に生まれけん
宵の明かり薄明かりの元
この世は浄土生まれけん
歌えや歌へ月の夜風の歌
ほろり蕾が綻びてかほる
月の夜の宵待草は夜の闇
光を放ちてかほるは浄土
この世の穢れを清めゆく
あゝ、美しき月夜の花よ
10月12日
『まどろみの中で』
夢とうつつの間で
今日という1日を振り返る
意識はもう夢の中
心に思い浮かぶは
今日の不安と 明日の喜び
夢の中で混ざり合い
心地よさの中で溶けてゆく
おやすみおやすみ
夢の中でまた君と会おう
心地よい癒しの夢の中で
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